計器飛行方式(読み)けいきひこうほうしき

改訂新版 世界大百科事典 「計器飛行方式」の意味・わかりやすい解説

計器飛行方式 (けいきひこうほうしき)

航空機運航に当たり,パイロット目視に頼って飛行できる十分な視界が確保されていない場合は,航空機の飛行経路,飛行高度,飛行方法などについて,つねに航空交通管制指示を受けながら,機上計器指示に頼って飛行しなければならない。この飛行方式計器飛行方式instrument flight ruleといい,略してIFRとも呼ばれる。現在,定期航空では,途中の気象変化に備え,また他機との衝突や異常接近を防ぐため,視界のよいときでもIFRで運航しているのがふつうである。IFRで運航するには,航空法施行規則145条に規定された各種の航空計器および航法装置を航空機に装備する必要があり,また,パイロットも計器飛行証明の資格をもっていなければならない。航空機が機上の計器指示だけに頼っていわゆる〈盲目飛行〉を行ったのは,1929年9月24日,アメリカのドゥリトルJames Doolittleがジャイロ式の水平儀定針儀,精密高度計および方向探知機を装備した飛行機で,操縦席にフードをかけ,離陸から指定コースを飛んで着陸するまでの飛行に成功したのが最初である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「計器飛行方式」の意味・わかりやすい解説

計器飛行方式
けいきひこうほうしき
instrument flight rules; IFR

航空機の飛行方式の一種で,夜間もしくは視界が悪いときに管制承認 (クリアランス) を受け,機上の計器と地上の管制官の指示によって飛行する方法。 IFR飛行ともいう。主要航空路を飛ぶ民間機は航空交通の輻輳と飛行速度の増大の結果,視界の良好にかかわらず,原則としてすべてこの方式によって運航することになっている。とりわけ最近の航空機は航法計器,自動操縦装置が発達し,地上の航法援助施設も充実してきたことから,全天候性が著しく向上し,安全かつ容易に計器飛行が可能となっている。 (→航空交通管制 )

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百科事典マイペディア 「計器飛行方式」の意味・わかりやすい解説

計器飛行方式【けいきひこうほうしき】

IFR(instrument flight ruleの略)とも。航空機が機外物象を見ることなく,装備している計器だけにたよって行う飛行。目視で十分な視界が確保されていない場合は計器飛行方式で飛行しなければならない。運航はすべて航空交通管制の指示により,他機と必要な間隔が維持される。

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知恵蔵 「計器飛行方式」の解説

計器飛行方式

IFR」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の計器飛行方式の言及

【航空気象】より

… 航空気象観測がきめ細かく行われるのは,航空機を安全に離着陸させるための最低気象条件が各飛行場で決められており,気象状態が最低気象条件より良い場合でも,飛行方式を気象状態によって制限するためである。
[飛行方式]
 飛行方式には有視界方式visual flight rule(VFR)と計器飛行方式instrument flight rule(IFR)がある。いま飛行場の地上視程が5km以上,雲高が300m(一部の飛行場は450m)以上あれば,その気象状態を有視界気象状態VFR meteorological condition(VMC)と呼び,航空機はVFRに従って飛行できる。…

【航空交通管制】より

…管制圏内の飛行場に発着する航空機ならびに圏内を通過しようとする航空機は,すべて管制塔に連絡し,その指示を受ける。管制圏に接続する周辺の空域は進入管制区と呼ばれ,計器飛行方式による飛行経路を平面的,立体的に包含するよう,その範囲が定められている。進入管制区の底は管制圏に接する部分で700フィート,その外側は1500フィート,3000フィートなどとしだいに高くなっている。…

※「計器飛行方式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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