日本大百科全書(ニッポニカ) 「訴状(中世)」の意味・わかりやすい解説
訴状(中世)
そじょう
中世の訴訟制度において、訴人(原告)が訴訟を起こすために提出する文書。証拠文書(具書(ぐしょ)案)が添えられた。解状(げじょう)、申状(もうしじょう)、目安(めやす)ともいう。書式は一定していないが、書き出しは「某謹言上(つつしんでごんじょうす)」「某謹訴申(つつしんでうったえもうす)」「某謹申(つつしんでもうす)」などで始められ、書き止めは「言上如件(くだんのごとし)」「申状如件」「訴申如件」などと記された。用紙はときに折紙(おりがみ)もあるが、普通、竪紙(たてがみ)が用いられた。中世の裁判は当事者主義的傾向が強く、訴人と論人(ろんにん)(被告)の文書を通しての応酬(訴陳(そちん)に番(つが)う)が重要な位置を占めたが、幕府法ではそれが3回まで認められた(三問三答。公家法は2回)。最初の訴状は本(ほん)解状・初問状、2回目は二問状、3回目は三問状といい、二問状と三問状は重訴状(かさねそじょう)あるいは重申状(かさねもうしじょう)ともいわれた。再審を請求する越訴(おっそ)状、裁判手続上の過誤を訴える庭中(ていちゅう)申状もある。
[黒田弘子]
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