認可外保育所(読み)にんかがいほいくしょ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「認可外保育所」の意味・わかりやすい解説

認可外保育所
にんかがいほいくしょ

児童福祉法に基づく認可を受けた認可保育所以外の、子供を預かる施設の総称認可外保育施設、無認可保育所ともいう。認可保育所に比べ、施設や設備、園児の収容人数などの面で基準が緩和されており、この基準を満たしていれば事業者は自由に設置ができる。都道府県補助対象施設を除き、料金の上限は定められていないため、保育所の運営費は原則的に保育料でまかなわれている。また、保育人数が5人以下の小規模施設の場合、原則として自治体への届け出対象にはなっていない。

 認可外保育所にはおもに次の6種類がある。(1)自治体や地方公共団体が独自に設置基準を設け、運営費用の補助を行っている保育施設。東京都の認証保育所や横浜市の「横浜方式」で設置される横浜保育所などの例がある。(2)託児室や保育室とよばれ、一般的な乳幼児を預かる施設。宿泊深夜の保育に対応しているところはベビーホテルという。(3)事業所内保育施設。通常は企業のなかに設置され、利用者は事業所の労働者にほぼ限定されている。病院の場合、院内保育所とよばれる。(4)一時預かり施設。レジャーやスポーツの施設、自動車教習所などで顧客の子供を一時的に預かる施設。(5)臨時に設置された保育施設。スキー場催事などのために期間や時間を限定して設置され、一時的に子供を預かる施設。(6)親族間の預かり合い。親族の子供の預かりを基本として設置された施設。

 2011年度(平成23)における全国の認可外保育施設の総数は7739か所で、前年度より160か所増加しており、このうちベビーホテルは1830か所で、前年度に比べ121か所もの増加がみられる。入所児童の総数は18万4959人。近年は待機児童問題の対策として、都道府県が独自の基準で認可した保育者(家庭福祉員、保育ママとよばれる)の自宅で行うもの、5人以下を基本に少人数を預かる施設などが認可外保育所として増加する傾向にある。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵 「認可外保育所」の解説

認可外保育所

児童福祉法に規定された都道府県知事の認可を受けず、その範囲外で保育サービスを提供している施設。いわゆるベビーホテルだけでなく、「事業所内保育所」「駅型保育所」「共同保育所」「保育ママ」も無認可保育サービスである。「無認可」という表記の違法的なイメージを懸念し、認可外保育所と表記されることが多くなってきている。保育時間や立地条件など多様な保育ニーズへの対応と待機児童の解消のためには、今日ではもはやネガティブな存在ではない。1970年代後半に当時のベビーホテルの環境が社会問題となり、81年に児童福祉法を一部改正、都道府県・政令指定都市による指導監督が行われるようになった。近年、無認可保育所での虐待死がマスコミで再度クローズアップされたこともあり、2001年11月の児童福祉法一部改正で違反時の罰則を盛り込んだ届け出義務が規定され、利用者への重要事項の掲示、書面交付、都道府県知事に対する運営状況の年次報告義務が法定化された。また、改善勧告・公表も規定し監督が強化された。

(中谷茂一 聖学院大学助教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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