誓・祈(読み)うけう

精選版 日本国語大辞典 「誓・祈」の意味・読み・例文・類語

うけ・う うけふ【誓・祈】

〘他ハ四〙
① わからないことを神意によって知ろうとして神に祈る。
(イ) 前もって二つのことを定めておいて、どちらが現われるかによって神意をうかがう。物事の吉凶成否、是非などを占う。
古事記(712)上「宇気比(ウケヒ)て子生まむ」
万葉(8C後)四・七六七「都路を遠みか妹がこの頃は得飼飯(うけひ)て寝(ぬ)れど夢に見え来ぬ」
(ロ) どうしたらよいか、どういうことかなどについて、神のお告げを受けるように祈る。
書紀(720)神武即位前戊午九月(熱田本訓)「是夜自ら祈(ウケヒ)て寝(みね)せり。夢に、天神有て、訓(をし)へまつりて曰く」
② (中古以後の用法で) 人の不幸や死を神に祈る。のろう。
※伊勢物語(10C前)三一「つみもなき人をうけへば忘草おのが上にぞ生(お)ふといふなる」
③ 祈りを聞き入れて神がしるしを現わす。受納する。
読本・春雨物語(1808)捨石丸「日高見の神社〈略〉隣の国までも、夜ひるまうでてちか言す。はたうけひ給ひて」
④ (③から転じて) 承知する。うけひく。
※俳諧・太祇句選(1772‐77)蕪村序「二稿、三稿といへるものは、年を経てもほゐとぐべきわざなれとすすめければ、二子もうけひて、かしこうこそ申つれ」
[補注]④の「太祇句選」の例は、「うけがふ」の「が」の脱落とする説もある。

うけい うけひ【誓・祈】

〘名〙 (動詞「うけう(誓)」の連用形名詞化)
① わからないことを神意によって知るために、誓いを立てること。
※書紀(720)神代上「夫れ誓約之中〈誓約之中、此をば宇気譬能美難箇(ウケヒのみなか)と云ふ〉に」
② (中古以後の用法で) 人の不幸や死を神に祈ること。のろうこと。
※宇津保(970‐999頃)蔵開下「いきあつまりて、うけひのろひぞせん」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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