豊原国周(読み)とよはら くにちか

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「豊原国周」の解説

豊原国周 とよはら-くにちか

1835-1900 幕末-明治時代の浮世絵師
天保(てんぽう)6年6月5日生まれ。豊原周信(ちかのぶ),初代歌川国貞にまなぶ。役者絵とくに大首絵(おおくびえ)にすぐれた。83回ひっこし,妻も40回以上かえたという奇行の持ち主。門人橋本周延(ちかのぶ)がいる。明治33年7月1日死去。66歳。江戸出身。本姓荒川通称八十八。別号に一鶯斎,華蝶楼。

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朝日日本歴史人物事典 「豊原国周」の解説

豊原国周

没年:明治33.7.1(1900)
生年:天保6.6.5(1835.6.30)
明治期を代表する浮世絵師のひとり。荒川氏,俗称八十八。江戸京橋の生まれ。3代歌川豊国らに師事し,美人画および役者絵を得意とした。特に明治2,3(1869,70)年の役者大首絵や明治中期の3枚続の役者絵は新しい感覚と構成を示している。

(浅野秀剛)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「豊原国周」の意味・わかりやすい解説

豊原国周
とよはらくにちか

[生]天保6(1835).6.5. 江戸
[没]1900.7.1. 東京
幕末~明治初期の浮世絵師。本名は荒川八十八。号は花蝶楼,一鶯斎,豊春楼。初め豊原周信,のち歌川国貞の門人となった。美人画,役者大首絵を描く。浮世絵師の最後を飾った人といわれる。

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世界大百科事典(旧版)内の豊原国周の言及

【歌川派】より

…このように,幕末の歌川派は,実力と人気において役者絵,美人画,武者絵,風景画と浮世絵界の代表的な分野を独占し,黄金時代を築いた。明治に入っても豊原国周(1835‐1900),月岡芳年がおり,芳年門下から水野年方(1866‐1908),鏑木(かぶらぎ)清方らが出るなど,その流れは現代まで続いている。【松木 寛】。…

【役者絵】より

…写実を基礎におきながらも美化された役者姿絵は,彫摺技術の粋をこらした艶麗な版画表現にも助けられて,広く歌舞伎愛好家一般の歓迎するところであったが,幕末に下るにつれて量的な繁栄に反比例して質的な内容を衰弱させていった。わずかに国貞の弟子の豊原国周(くにちか)(1835‐1900)が,大錦三枚続きの大画面に一人の役者の半身像を描くという意表をついた新形式を開拓,明治劇壇の活況を伝えて最後の光芒を放った。 また京坂においても,江戸の浮世絵の木版技法を学んだ上方役者絵が天明(1781‐89)のころから興り,流光斎如圭,松好斎半兵衛,春好斎北洲,青陽斎蘆国らが活躍して,幕末まで活況を呈した。…

※「豊原国周」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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