豊川(市)(読み)とよかわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「豊川(市)」の意味・わかりやすい解説

豊川(市)
とよかわ

愛知県南東部、東三河地方にある市。1943年(昭和18)豊川、牛久保(うしくぼ)、国府(こう)の3町と八幡(やわた)村が合併して市制施行。1955年(昭和30)八名(やな)郡三上村、1959年宝飯(ほい)郡御油(ごゆ)町を編入。2006年(平成18)一宮町(いちのみやちょう)、2008年音羽町(おとわちょう)、御津町(みとちょう)、2010年、小坂井町(こざかいちょう)を編入。JR東海道本線、飯田線(いいだせん)、名古屋鉄道名古屋本線・豊川線、国道1号、23号、151号、247号(小坂井バイパス)、362号が通じ、東名高速道路の豊川、音羽蒲郡(がまごおり)の二つのインターチェンジがある。豊川(とよがわ)右岸河岸段丘と豊川氾濫(はんらん)原に位置する。豊川地区は豊川稲荷(いなり)(妙厳寺(みょうごんじ))の門前町。牛久保地区は中世城下町として、その後、伊那(いな)街道沿いの市場町として栄え、現在はたんすの製造販売で全国に知られる。牛久保のナギの木は国の天然記念物。国府地区には古代三河国の国衙(こくが)が、八幡地区には三河国分寺・国分尼寺が置かれた。また、御油地区は東海道五十三次の宿駅で、そのころの家並みが部分的に残っており、赤坂宿までの松並木は国の天然記念物に指定されている。1939年建設された海軍工廠(こうしょう)は第二次世界大戦で壊滅し、戦後、跡地は大型工場群と自衛隊によって利用され、2018年(平成30)豊川海軍工廠平和公園も開園されている。また、南西部には県造成の豊川工業団地がある。豊川氾濫原では米、蔬菜(そさい)栽培、花卉(かき)園芸が盛んで、スプレー菊、バラなどは日本でも有数の産地になっている。遺跡、史跡に富み、三明寺(さんみょうじ)の三重塔と本堂内宮殿、財賀(ざいか)寺の仁王像、仁王門、本堂内厨子(ずし)は国の重要文化財に、三河国分寺・国分尼寺跡は国の史跡に指定されている。妙厳寺の境内鎮守は吒枳尼天(だきにてん)(豊川稲荷)、同寺の地蔵菩薩(ぼさつ)立像2体は国の重要文化財。面積161.14平方キロメートル、人口18万4661(2020)。

[伊藤郷平]

『『豊川市史』全2巻(1973、1975・豊川市)』『『新編豊川市史』全11冊(1998~ ・豊川市)』


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