貫・緯(読み)ぬき

精選版 日本国語大辞典 「貫・緯」の意味・読み・例文・類語

ぬき【貫・緯】

〘名〙 (動詞「ぬく(抜)」の連用形の名詞化) 横につらぬいているもの。縦に並ぶものに対して、横につらぬいたもの。
[一] (貫) 建築または工作物の貫木(ぬきぎ)
① 立ち並んでいる垂直材を水平につらぬいて、構造を固める材。古代では柱頭を結ぶ頭貫しかなかったので、柱貫といったが、中世から多用されるようになり、柱との関係、あるいは用いる場所によって、天井貫、内法貫、胴貫などの名称がある。住宅の柱が角材になり、その太さがほぼ定まってからは、柱を固めるために薄い矩形断面に製材されたできあいの建築用材をいう。
※匠明(1608‐10)社記集「一、樌幅は七分算。厚さは柱三分算」
和船垣立(かきたつ)を構成する縦通材の、すべての立(たつ)(=柱)を貫通させて通す横材。立の外面に通す筋に対していう。〔和漢船用集(1766)〕
[二] (緯)
織物のよこいと。経(たていと)を横につらぬいて織る糸。よこいと。ぬきいと。
万葉(8C後)八・一五一二「経もなく緯(ぬき)も定めずをとめらが織るもみち葉に霜な降りそね」
小学読本(1874)〈榊原那珂稲垣〉二「糸の(くだ)を納れて、緯(ヌキ)を送り行(や)るを杼(ひ)といひ」
② 比喩的に、よこすじ。よこ。
※将門記承徳三年点(1099)「天を経(たて)とし地を緯(ヌキ)とする君」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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