起・興・発・熾(読み)おこる

精選版 日本国語大辞典 「起・興・発・熾」の意味・読み・例文・類語

おこ・る【起・興・発・熾】

〘自ラ五(四)〙
[一] 今までなかったところに、ある物事や状態が生じる。
① 新しく物事が始まる。物事が新たにできる。
書紀(720)神代上(寛文版訓)「是れに由て始めて大八洲国(をほやしまのくに)の号(な)(ヲコレ)り」
② 大勢の人が集団をなして立ち上がる。大挙する。
古事記(712)中「河の辺に伏せ隠せし兵(いくさびと)彼廂(そなた)此廂(こなた)、一時共(もろとも)に興(おこ)りて、矢刺して流しき」
③ 穏やかな状態のところに、それをさわがせるような物事や状態が生じる。
※古事記(712)上「万(よろづ)の物の妖(わざはひ)悉に発(おこり)き」
方丈記(1212)「おほきなるつじ風おこりて」
④ ある感情、欲望などが、心に生じる。
源氏(1001‐14頃)若菜上「をのがどちの心よりおこれるけさうにもあらず」
※青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏「一緒にお暮らしなさる内には、其内には又夫婦間の愛情と云ふものが発(ヲコ)りますから」
[二] 高く盛りあがる。隆起する。「雲がわきおこる」
※大唐西域記巻十二平安中期点(950頃)「山の峯は両つに起(オコリ)て、巖四むに絶えたり」
[三] 勢いがさかんになる。
① ふるわない物事がさかんになる。働きが強まる。ふるいたつ。
※大智度論平安初期点(850頃か)一六「腹の内の薬作(オコリ)て、下処を欲求す」
② (熾) 火気がさかんになる。また、炭に火が移る。
※広本拾玉集(1346)二「さゆる夜の枕にきえぬうづみ火のおこすにおこる世をいかにせむ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android