デジタル大辞泉
「転寝」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
うたた‐ね【転寝】
[1] 寝るとはなしに寝ること。
寝床に入らないで、思わず知らずうとうと眠ること。中古では、多く恋の
物思いのためにするものとされた。
かりね。
うたたねむり。
※
古今(905‐914)恋二・五五三「うたたねに恋しき人をみてしよりゆめてふ物はたのみそめ
てき〈
小野小町〉」
[2] (うたたね) 鎌倉前期の日記。「うたたねの記」とも。一冊。阿仏記。「十六夜日記」の著者阿仏尼の一八、九歳頃の文と推定される。北の方の若い貴族との
初恋、そして
失恋から
西山の麓の
尼寺での出家隠棲、
養父との
遠江下り、
乳母の
重病を聞いて帰京するまでの約二年間の体験を中心とする。
ごろ‐ね【転寝】
〘名〙
①
寝巻に着かえないで所かまわず無造作に横になること。また、そのようにして眠ること。うたた寝。
※匠材集(1597)三「ころね 帯とかず
丸寝の事也」
※歌舞伎・三人吉三廓初買(1860)四幕「此頃大層安い見世が出来たぜ、四百の転寝
(ゴロネ)で
湯豆腐に酒一本、おまけに湯へ入れる」
ころび‐ね【転寝】
〘名〙
①
着物を着たままで寝床以外のところでも寝ること。仮寝。うたた寝。まろ寝。
ごろ寝。
※浄瑠璃・博多小女郎波枕(1718)
長者経「
奥山のててうちの、でんぐりでんぐり栗の木の、木の根を枕にころびね」
② 男女がひそかに肉体関係を結ぶこと。野合すること。私通。
※仮名草子・御伽物語(1678)三「うしろめたくもころび寝に〈略〉さすがやまれずもなり行て、またあさからぬ中となる」
まろび‐ね【転寝】
〘名〙 うたたね。ごろね。ころびね。
※人情本・英対暖語(1838)初「目顔をしのびまろびねの、其睦ごとの度々に」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報