輾転・展転（読み）てんてん

精選版 日本国語大辞典

てん‐てん【輾転・展転】

〘名〙 (「てんでん」とも)

① ころがること。回転すること。また、めぐること。

※往生要集（984‐985）大文一「如_レ是展転、作_レ悪受_レ苦、徒生徒死、輪転無_レ際」

※真如観（鎌倉初）「如_レ是展転(テンデン)し、無数劫(むしゅこふ)に至るといへり」

② ころがるように移ること。急いで移り行くこと。〔後漢書‐趙岐伝〕

③ 寝返りをうつこと。心に悩みがあって眠れないこと。また、眠れずに人を思い慕うこと。輾転反側。

※懐風藻（751）秋夜閨情〈石上乙麻呂〉「山川嶮易路、展転憶_二閨中_一」

※太平記（１４Ｃ後）三七「遙に君王展転(デンテン)の御思を知れり」 〔詩経‐陳風・沢陂〕

④ 人から人へ伝えること。

※律（718）賊盗「展転伝_レ言而受_レ財者、皆為_二従坐_一」

⑤ 一定しないこと。ころころかわること。

※小右記‐長和三年（1013）五月二四日「令_レ啓_二左兵衛督実成_一造宮行事、可_レ被_レ聞_二在府_一者、事太展転、是下臈作法也」

※浄瑠璃・津国女夫池（1721）三「万一清滝がく_はん音のへんげならば、刀がおれはせまいかと、詞てんでんうはてうし」 〔戦国策‐趙策・孝成王〕

出典　精選版 日本国語大辞典