辞・否(読み)いなぶ

精選版 日本国語大辞典の解説

いな‐・ぶ【辞・否】

[1] 〘他バ上二〙 (感動詞「いな」に、動詞をつくる接尾語「ぶ」を付けた語) 承知しないということを表わす。断る。いやがる。辞退する。いなむ。
書紀(720)神武即位前(北野本訓)「兄猾罪を天(きみ)に獲(え)たれば事(こと)(イナフル)所無し」
※宇治拾遺(1221頃)一五「国のうちにある身なれば、えいなびずして、米百石の分奉るといひて、とらせたり」
[2] 〘他バ四〙 (一)に同じ。
※書紀(720)允恭元年一二月(寛文版訓)「何ぞ遂に謝(イナハ)むや」

いな‐・む【辞・否】

[1] 〘他マ上二〙 (「いなぶ」の変化した語) 承知しないということを表わす。断る。いやがる。辞退する。
※島原本竹取(9C末‐10C初)「親の宣ふことを、ひたぶるにいなみ申さんことのいとほしさに」
[2] 〘他マ四〙 (一)に同じ。
※読本・南総里見八犬伝(1814‐42)九「只常人の上をもて、年を論じて云々と、推辞(イナム)は要なき事にこそ」
[補注]「いなぶ」の場合は、古くは上二段の例が圧倒的に多く、したがって、「いなぶ」から「いなむ」への交替とほぼ並行して、「いなむ」の活用も上二段から四段へと移ってきたものと考えられる。これによって(一)に挙げた島原本竹取物語の例は、上二段と推定した。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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