近江毛野(おうみのけぬ)(読み)おうみのけぬ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

近江毛野(おうみのけぬ)
おうみのけぬ
(?―530)

6世紀、任那(みまな)に派遣された近江豪族。『日本書紀』に以下のような所伝がみえる。527年(継体天皇21)毛野臣(おみ)は、6万の兵を率いて、新羅(しらぎ)法興王に破られた南加羅(から)(金官加羅国)、喙己呑(とくことん)(現在の韓国慶尚北道慶山か)を復興すべく派遣される。ところが、新羅に通じていた筑紫国造(つくしのくにのみやつこ)磐井(いわい)の乱によって、行く手を遮られ、乱の鎮定後、529年ようやく渡海することができた。任那駐在中の2年間、任那諸国への侵攻、領土拡張をねらう新羅の攻勢を抑え、緩和すべく努力するが結局失敗する。また、この間誓湯(うけゆ)(盟神探湯(くかたち))を好んで行い、任那人を苦しめて反発を招く。そのため、任那王阿利斯等(ありしと)の要請を受けた百済(くだら)・新羅の攻撃を受けることになり、さしもの毛野臣も召還されて、帰国の途中、対馬(つしま)で病死する。

[小林敏男]

『末松保和著『任那興亡史』(1949・吉川弘文館)』

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