退転・怠転(読み)たいてん

精選版 日本国語大辞典 「退転・怠転」の意味・読み・例文・類語

たい‐てん【退転・怠転】

〘名〙
① 仏語。菩提心を失ったために、それまでに得たさとりの位や修行などを失ってあともどりすること。⇔不退転不退
※三代実録‐貞観七年(865)九月五日「今薬師寺僧壱演。少壮之時酷厭俗塵。〈略〉練耶之行企脩専無退転既経多年
② 中絶すること。中止。
愚管抄(1220)六「長日護摩御退転なく行はせおはしましけり」
③ 時がたつにつれて悪くなること。だんだんに衰えていくこと。また、堂宇が荒廃すること。衰退
平家(13C前)二「谷々の講演摩滅して堂々の行法も退転す」
仮名草子東海道名所記(1659‐61頃)五「かのうき御堂は、恵心僧都のつくり給ふ。〈略〉中比みな散り散りに取りゆきて退転に及びしを」
④ 特に、家が破産や断絶したために、その地を立ちのくこと。落ちぶれて移転すること。
相良氏法度(1493‐1555)三条「買取候田地を又人に売候て後、其主退転之時者」
末枯(1917)〈久保田万太郎〉「商売をやめて深川佐賀町の寮に退転した」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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