遣方無(読み)やるかたない

精選版 日本国語大辞典 「遣方無」の意味・読み・例文・類語

やるかた‐な・い【遣方無】

〘形口〙 やるかたな・し 〘形ク〙
① 心にわだかまっていることのやり場がない。思いを晴らす方法もない。やるせない。やらんかたなし。
※宇津保(970‐999頃)菊の宴「今は聞こえさせじと思ひ給ふれど〈略〉やるかたなければなん」
② なみひと通りでない。程度がどうしようもないほど異常である。
塩山仮名法語(1387頃)二「直に心絶して、やるかたなき工夫をして、間断なくんは」
③ 伝えてゆく方法もない。
※却来華(1433)「嫡孫は未だ幼少也。やるかたなき二跡の芸道、あまりにあまりに老心のまうしふ、一大事のさはりともなる斗也」
やるかたな‐げ
〘形動〙
やるかたな‐さ
〘名〙

やらんかた‐な・し【遣方無】

連語〙 (「やらんかた」の「ん」は推量助動詞) 心を晴らそうとしても、心にかかって晴らしようもない。心から払いのける方法もない。やるかたない。
源氏(1001‐14頃)夕顔「などてかくはかなき宿りはとりつるぞと、くやしさもやらんかたなし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android