那珂川(町)(読み)なかがわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「那珂川(町)」の意味・わかりやすい解説

那珂川(町)
なかがわ

栃木県中東部、那須郡(なすぐん)にある町。2005年(平成17)、那須郡馬頭町(ばとうまち)、小川町が合併して成立。町の西部那珂川が南流し、右岸に箒(ほうき)川、左岸に武茂 (むも)川などを合わせる。町名は那珂川に由来。東部には八溝(やみぞ)山系山地、丘陵地が広がり、茨城県と境する。国道293号が東西に、294号が南北に走り、両国道と重複する400号も通じる。町の東部には国道461号が通じる。那珂川右岸の小川、吉田地区には多くの古墳が築造され、吉田温泉神社古墳群、那須八幡塚古墳群、駒形大塚(こまがたおおつか)古墳などを一括し、那須小川古墳群として国の史跡に指定されている。一帯は、古代には下野(しもつけ)国那須郡の中心地であったとみられ、小川には那須官衙が置かれていた(那須官衙遺跡は国指定史跡)。江戸時代には大山田煙草(おおやまだたばこ)の名で知られた葉タバコや和紙が特産。那珂川の舟運は大正期まで重要な輸送手段で、久那瀬(くなせ)、三川又(みかわまた)は河岸場であった。現在の基幹産業は稲作を中心とした農業。ナシなどの果樹や野菜、キノコの栽培、酪農、養豚なども盛ん。那珂川はアユが豊富で、多くの釣り客が訪れ、観光簗漁も行われる。小砂焼(こいさごやき)は水戸藩御用陶器の伝統を誇る。「那珂川町なす風土記の丘資料館」「馬頭広重美術館」などの文化施設があり、また西部の八溝県立自然公園域内にはカタクリ山公園、馬頭温泉郷などが所在。茨城県との県境鷲子山上神社(とりのこさんしょうじんじゃ)がある。同神社の本殿楼門(随神門)は1990年(平成2)に全国で初めて栃木、茨城の両県から文化財の指定を受け、「県境にある霊峰」として知られる。面積192.78平方キロメートル、人口1万5215(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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