邦良親王(読み)くによししんのう

精選版 日本国語大辞典 「邦良親王」の意味・読み・例文・類語

くによし‐しんのう ‥シンワウ【邦良親王】

二条天皇の第一皇子。「くになが」とも読む。初名、惟善。文保二年(一三一八後醍醐天皇皇太子となる。皇位継承をめぐる抗争の間にあって、正中二年(一三二五)ひそかに践祚(せんそ)要請の使者幕府につかわしたが、翌年病没正安二~正中三年(一三〇〇‐二六

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改訂新版 世界大百科事典 「邦良親王」の意味・わかりやすい解説

邦良親王 (くにながしんのう)
生没年:1300-26(正安2-嘉暦1)

鎌倉後期の皇太子。後二条天皇の第1皇子,母は参議藤原宗親の女典侍宗子。1302年6月親王宣下をうけ,惟善(これよし)を初名とした。18年(文保2)3月9日元服と同時に後醍醐天皇の皇太子に立った。これより先,皇統は持明院・大覚寺の両統分裂し,大覚寺統の内部においても3派に分裂の兆候が見えはじめたため,当時大覚寺統の総帥である後宇多上皇は,その第1皇子である後二条天皇の系統を嫡流とし,大覚寺統の安定を図ろうとした。しかし後二条天皇が早世したため,持明院統の花園天皇が即位したが,大覚寺統は嫡流の邦良親王が幼少のために中継ぎとして後宇多上皇の第2皇子尊治親王(後醍醐天皇)を皇太子に定めた。ついで尊治親王が践祚すると,後宇多上皇は邦良親王を皇太子に立てた。しかし公家一統を遂げ,天皇親政を図る後醍醐天皇は,さらに皇統を皇子に伝えようと願ったため,邦良親王らと対立が生じた。そこで後醍醐天皇の討幕計画が漏れ,いわゆる正中の変が起こると,親王は幕府と謀って密かに皇位につこうとして画策するが,実現に至らず,26年27歳をもって没した。墓所は京都市左京区北白川追分町にある。なお親王は洛西葛野郡の木寺に住したため木寺宮を称したが,親王を初代に,その子孫を木寺宮家といい,同宮家は室町時代の中期に至る6代にわたって存続した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「邦良親王」の意味・わかりやすい解説

邦良親王
くにながしんのう

[生]正安2(1300).京都
[没]正中3(1326).3.20. 京都
後二条天皇の第1皇子。母は典侍藤原宗子。永嘉門院瑞子女王に養われ,乾元1 (1302) 年,親王宣下。初名は惟善と称し,のち邦良と改名した。文保2 (18) 年元服,同時に後醍醐天皇の皇太子となった。当時は皇位継承について持明院統大覚寺統対立の時であったが,大覚寺統内においても後二条,後醍醐両系は互いに反目しあっていた。正中2 (25) 年,幕府に人をつかわし登祚 (即位) をはかったが,翌年即位をみずに没した。墓は京都市左京区北白川追分町にある。

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朝日日本歴史人物事典 「邦良親王」の解説

邦良親王

没年:嘉暦1.3.20(1326.4.23)
生年:正安2(1300)
後二条天皇の第1皇子。後宇多上皇の嫡孫。母は参議藤原宗親の娘。「くになが」とも。後二条の早世後,邦良を大覚寺統の皇儲(後嗣)と決めた後宇多は,中継ぎの役割を次子尊治親王(のちの後醍醐天皇)に負わせることとした。尊治は文保2(1318)年2月践祚するが,邦良は翌3月立太子し,次期天皇の地位が約束された。しかし,後醍醐は皇位を手放そうとせず,邦良との間にも確執が生じた。後宇多が正中1(1324)年6月没すると,確執は激化した。邦良の即位工作は続けられたが,嘉暦1(1326)年3月即位することなく没。『神皇正統記』によれば,邦良は「鶴膝の御病」だった。

(森茂暁)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「邦良親王」の解説

邦良親王 くによししんのう

1300-1326 鎌倉時代,後二条天皇の第1皇子。
正安(しょうあん)2年生まれ。母は藤原宗子(むねこ)。木寺宮(きでらのみや)家初代。正安4年親王。持明院統と大覚寺統の和議が成立し,文保(ぶんぽ)2年叔父の後醍醐(ごだいご)天皇が即位すると,大覚寺統の嫡男継承をはかる祖父の後宇多上皇によって皇太子にさだめられる。のち天皇との間に対立が生じるなか,正中(しょうちゅう)3年3月20日病没した。27歳。初名は惟善(これよし)。

邦良親王 くにざねしんのう

邦房親王(くにのぶしんのう)

邦良親王 くにながしんのう

くによししんのう

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