郵便切手/切手収集の用語(読み)ゆうびんきってきってしゅうしゅうのようご

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

郵便切手/切手収集の用語
ゆうびんきってきってしゅうしゅうのようご

ウェルセンター well-centered
 切手の印面と目打(めうち)との間の余白マージンmargin)が、上下左右とも等しく、印面が中心に納まっているもの。目打がずれて施されたため印面が上下左右に偏ってしまったものをオフセンターoff-centeredとよび、切手収集家は嫌う。

エラー error
 図案、製版、刷色、目打などが製造工程で間違ってつくられ、検査もれで発売された切手。

エンタイア entire
 郵便物として配達されたままの状態の封筒・葉書類。切手、消印の収集や郵便史の研究に必要な資料となる場合が多い。切手や消印など必要な部分を切り取ったものをエンタイア・カットentire-cutという。

加刷(かさつ)
 いったん印刷した切手に再度重ねて別の印刷をすること。額面(金額)、使用目的、国名の変更などがある。日本最初の加刷切手は1900年(明治33)1月1日発行の「支那(しな)」「朝鮮」両加刷で、清(しん)国、大韓帝国に開設されていた日本郵便局でしか使えないように使用地域を限定したもの。

シート sheet
 切手が窓口で売られる前のつながった形のもの。日本の大部分普通切手は縦・横各10枚の合計100枚で1シートになっている。記念切手や特殊切手は20枚で1シートが普通。シートの周りにはかならず余白の紙(耳紙(みみがみ)。マージンともいう)がついている。

初日(しょにち)カバー first day cover
 略称FDC。新しい切手が発行された日に、封筒にその切手を貼(は)って、その日の消印を押してもらったもの。

初飛行(しょひこう)カバー first flight cover
 略称FFC。新しい航空路が開かれたとき、その最初の飛行便に積んで逓送(ていそう)されたことを示すエンタイア。

すかし watermark
 偽造を防ぐために切手用紙に入れる模様。日本では以前には、すかし(大正すかし、震災すかし、昭和すかし)を入れたこともあるが、1950年(昭和25)11月以降に印刷されたものに、すかしはない。

ステーショナリー stationary
 料額面があらかじめ印刷されている官製葉書、切手付き封筒、郵便帯紙(おびがみ)(新聞を折り畳んで送るためにつくられた細長い紙)、レター・シートletter-sheet(現在のミニレターのように、便箋(びんせん)を折り畳んでそのまま郵便として差し出せるもの)などをさす。

タブ tab
 シートのなかの一部分で、本来は切手を印刷すべきところへ、切手以外の図案や文字を印刷したもの。シートの切手の構成枚数を調整するために使われる。

テート・ベッシュ tête-bêche(フランス語)
 同じ種類の切手が、シートのなかの隣どうしで、一方の切手が逆向きに印刷されているもの。日本では1972年(昭和47)2月発行の札幌オリンピック冬季大会記念の20円切手2種類と50円切手があるだけ。単片に切り離すと価値がなくなる。

パケット packet
 できるだけ安い値段で多くの種類の切手を効率よく集めるためにつくられたもの。国別・図案別に100~1000種などさまざまなものがある。中身はほとんどが使用済みの切手。

マルティプル multiple
 2枚以上でシートより数が少ない切手のつながった状態をいう。縦または横に2枚つながったものをペアpair、縦・横各2枚ずつ、田の字につながっているものを田型(たがた)という。田型を最小として、縦・横両方に、それぞれ2枚以上つながっているものをブロックblockといい、このことばの前に枚数をつけて6枚ブロックというようによぶ。また、縦または横に1列に3枚以上つながったものをストリップstripという。

ミクスチュア mixture
 切手の種類は問題にせず、郵便物に貼られて使用された切手を封筒から切り抜いた紙付きのままのものを集め、目方で計って袋詰めにしたもの。同種の切手をたくさん集めて比較検討する、普通切手の専門収集などに利用される。

銘版(めいはん)
 シートの耳紙や切手の印面と目打の間の余白に刷ってある切手の製造所を示す文字。

目打(めうち)
 切手をシートから切り離すためのミシンの穴。パーフォレーションperforation、略してパーフperfともいう。この穴のないものを目打なしまたは無目打、目打のギザギザの山のとれたものを目打欠け、目打が正しい位置からずれ、印面に食い込んだものを目打ずれという。

目打数(めうちすう)
 20ミリメートルの間にある目打の穴の数で、その粗さの程度を表す数値。日本で現在もっとも普通に使われているのは普通切手型の13×13 1/2(横が13、縦が13.5)、大型の13(縦・横とも13)または13 1/2(縦・横とも13.5)。目打数を調べるための道具を目打ゲージという。

ルレット roulette
 シートの切手を単片に切り離す一方法。刃物で用紙に傷をつけ、切手をちぎりやすくしたもの。目打では穴をあけるとかならず紙くずができるが、ルレットではこれができない。電車やバスの回数券などにも使われている。最近では、シール式の切手が増加の傾向にあるが、この場合、目打はルレットが使われている。

連刷(れんさつ) se-tenant(フランス語)
 隣どうし違った種類の切手がつながって印刷され、ペア、ストリップ、ブロックになっているもの。日本最初の連刷は1947年(昭和22)10月発行の第2回国民体育大会記念切手で、4種類の異なったスポーツ図案のもの(額面はすべて1円20銭)。

[天野安治]

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