醜(漢字)

普及版 字通 「醜(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 17画

[字音] シュウ(シウ)
[字訓] みにくい・わるい・はじる・たぐい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(酉)(ゆう)。ともと同字であった。〔説文〕九上に「惡(にく)むべきなり」とし、声とする。金文の図象に「亞醜形」とよばれるものがあって、亞(亜)字形の中に醜の字形を加える。鬼の部分は鬼の形ではなく、礼冠を著けた人の形で、に従うのは鬯酌(ちようしやく)(礼酒を酌む)の意であるらしい。卜辞に、邑に祟(たたり)があると考えられるとき、醜の儀礼を行うことを卜するものがあり、その鬯酌によって祓うことが行われたのであろう。と同声であることからいえば、呪詛に関する意をもつ字である。また州は醜竅(しゆうきよう)(尻の穴)で、醜にもその意がある。〔孟子、公孫丑下〕「今、天下、地醜(ひと)しく、齊(ひと)し」は、おそらく儔の仮借義であろう。〔詩〕に「執訊(しつじん)醜(くわくしう)」「醜」「戎醜」「醜」「群醜」、また〔礼記〕に「醜夷」「醜」などの語がある。また讐と声義の通ずるところがある。

[訓義]
1. 酒を酌む、礼貌して鬯酌する形。
2. みにくい、あやしい、わるい。
3. にくむ、きらう。
4. はじ、はじる。
5. 儔と通じ、たぐい、なかま、とも。
6. 州・尻と通じ、尻の穴。

[古辞書の訓]
和名抄〕醜 日本紀私記に云ふ、醜女、志古女(しこめ)、或いは(い)ふ、泉の鬼なり。今世の人、小兒をれしめんが爲に許々女(ここめ)とふは、此の語の訛(なま)れるなり 〔名義抄〕醜 カタナシ・ハヂ・モロモロ・ミニクシ・アシ 〔字鏡集〕醜 タノシ・ココメ・カタクナシ・ハナツ・モロモロ・ミニクシ・ツタナシ・アシ・ニクム

[語系]
醜thjiu、呪・(祝)tjiukは声近く、醜は呪祝のとき鬯酌する形。ゆえに醜悪などの意となる。tjiu、tiuもまた呪祝に関する字。儔儕の意は讐zjiu、儔diuと通仮の用法であり、また醜悪・醜竅の意は(臭)thjiuと同声であり、また州tjiu(醜竅の意)は声近くして通用の義である。

[熟語]
醜悪・醜夷醜裔・醜汚醜禍・醜怪・醜漢・醜逆・醜語・醜好・醜行・醜黒醜叉醜儕醜諡・醜事醜辞・醜女・醜称醜辱醜譖・醜人・醜・醜生・醜声・醜石醜拙・醜醜扇・醜俗醜態・醜恥醜詆醜徒・醜毒・醜比・醜婦醜誣・醜聞・醜末・醜名・醜虜・醜類・醜・醜麗醜陋・醜老醜穢
[下接語]
遺醜・怪醜・獲醜・猾醜・奇醜・咎醜・凶醜・狂醜・群醜・醜・好醜・詬醜・黒醜・戎醜・衰醜・壮醜・美醜・俘醜・貌醜・余醜・虜醜・類醜・老醜

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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