重ウラン酸塩(読み)ジュウウランサンエン

化学辞典 第2版 「重ウラン酸塩」の解説

重ウラン酸塩
ジュウウランサンエン
diuranate

M2U2O7慣用名二ウラン酸塩が命名法による正しい名称.二ウラン酸塩が単にウラン酸塩とよばれることもある.両性酸化物である酸化ウラン(Ⅵ)UO3と金属酸化物または炭酸塩との強熱・融解,あるいはウラニル塩UO2溶液と水酸化物の反応で発生する.すべて水に不溶または難溶.ウラン製錬の中間物イエローケーキの主成分は,ウラン鉱石希硫酸溶解・浸出した液中の硫酸ウラニルUO2SO4に水酸化ナトリウムまたはアンモニアを反応させると得られる二ウラン(Ⅵ)酸ナトリウムNa2U2O7または二ウラン(Ⅵ)酸アンモニウム(NH4)2U2O7である.同位体濃縮のために六フッ化ウランUF6に変換する際にも,イエローケーキを硝酸にとかし,溶媒抽出で高純度の硝酸ウラニルUO2(NO3)2を得て,再度アンモニアと反応させて(NH4)2U2O7に戻し,仮焼して酸化物にかえてからフッ化水素さらにフッ素と反応させる.濃縮後の六フッ化ウランから二酸化ウランへの再転換にも,湿式法では六フッ化ウランを水と反応させ,加水分解してフッ化ウラニル水溶液とし,アンモニア水を加えて二ウラン酸アンモニウムにかえて,これをばい焼・水素還元する.このように,二ウラン酸塩は核燃料製造過程にとって非常に重要な化合物で,過程中では慣用的に重ウラン酸塩とよばれている.二ウラン酸塩の構造はM2O・UO3水和物またはNH3・UO3の水和物とされる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「重ウラン酸塩」の意味・わかりやすい解説

重ウラン酸塩 (じゅうウランさんえん)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の重ウラン酸塩の言及

【ウラン酸塩】より

…一般式MI2UnO3n+1(MIは1価金属,n=1~6)で表される化合物の総称。n=1のときのMI2UO4を(一)ウラン酸塩,n=2のMI2U2O7を二ウラン酸塩(俗に重ウラン酸塩ともいう),n=3のMI2U3O10を三ウラン酸塩などという。なお,このほかにMI4UO5,MII3UO6などを含めていうこともある。…

※「重ウラン酸塩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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