重・襲(読み)かさね

精選版 日本国語大辞典 「重・襲」の意味・読み・例文・類語

かさね【重・襲】

[1] (動詞「かさねる(重)」の連用形の名詞化)
① 物などを重ねること。また、重ねたもの。
※能因本枕(10C終)二一九「かさねならずは、二つのかけごの硯のいとつきづきしう」
源氏(1001‐14頃)真木柱「檜皮(ひはだ)色の紙のかさね」
② 特に、衣服を数枚重ねて着ること。また、その衣服。かさねぎ。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「かさねの裳・唐衣(からぎぬ)汗衫(かざみ)ども着て」
③ (襲) 袍(ほう)の下に重ねて着る服。したがさね。
④ 衣服の上着と下着とそなわっていること。〔十巻本和名抄(934頃)〕
⑤ (襲) 衣服を重ねて着るときの、衣と衣との配色、または、衣の表と裏との配色。季節によって色目(いろめ)にきまりがあり、紅梅襲(こうばいがさね)、卯の花襲、山吹襲などのようにいう。→襲の色目
⑥ 刀身の厚み。
※浮世草子・色里三所世帯(1688)中「切先(きっさき)より一寸五分程手まへにむくろぢ程なるふくれ有。かさねあつく平つくりにして無疷(むきず)物」
⑦ 「かさねもち(重餠)①」の略。
※東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉六月暦「お供への重(カサ)ねが五つ六つ積んで有る」
[2] 〘接尾〙 重なっているもの、重ねてあるものを数えるのに用いる。
大和(947‐957頃)一二六「袙(あこめ)一かさね」
随筆松屋筆記(1818‐45頃)九二「紙一帖をひとかさねといふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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