野いちご(読み)ノイチゴ(英語表記)Smultronstället

デジタル大辞泉 「野いちご」の意味・読み・例文・類語

のいちご【野いちご】[映画]

原題、〈スウェーデンSmultronställetスウェーデン映画ベルイマン監督・脚本による、1957年公開の白黒作品。ある老教授の一日を通して、家族人生・老いなどのテーマを幻想的に描く。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「野いちご」の意味・わかりやすい解説

野いちご
のいちご
Smultronstället

イングマール・ベルイマン監督による1957年のスウェーデン映画。南スウェーデンの大学町ルンドで名誉博士号を受賞することになった老医師イサク・ボルイが、長男の嫁の運転する自動車に乗って、ストックホルムからルンドまでの長旅をする間、夢のなかで自分の過去を追体験し、また旅の途中、母の住む実家への訪問や、ヒッチハイクをする若者たちとの遭遇などを通して、人生の最後に至った自分の時間をしみじみと感じ取ってゆく。ベルイマンは残酷なまでに、外面的には立派な学者として評価されている老人内面を暴きながら、単に失望と悲しみに満ちた一人の人間の人生をみせるだけではなく、人生の時間の美しさや優しさをも見事にとらえている。過去の場面において、主人公の医師は、自分だけが現在の年老いた姿で登場する。通常の映画の過去の場面とは異なり、ここでみられるフラッシュバックは、主人公の内面にのみ存在する過去の風景だからである。主人公の老医師を演じたのは、スウェーデン映画史上の重要な映画監督ビクトル・シェーストレームで、実際に死を目前としたこの映画監督の俳優としての最後の名演技である。

小松 弘]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「野いちご」の意味・わかりやすい解説

野いちご
のいちご
Smultronstället

スウェーデン映画。スベンスク・フィルム 1957年作品。監督,脚本イングマル・ベルイマン死期が近づいた大学教授 (V.シェーストレム) の意識の流れを,夢と現実,過去と現在の交錯のなかに描く。幻想味を漂わせた美しい映画で,ベルイマン作品のなかでは最も国際的に知られているものの一つ。

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デジタル大辞泉プラス 「野いちご」の解説

野いちご〔映画〕

1957年製作のスウェーデン映画。原題《Smultronstället》。監督:イングマール・ベルイマン、出演:ビクトル・シェストレム、イングリッド・チューリン、マックス・フォン・シドーほか。第8回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。

野いちご〔携帯サイト〕

スターツ出版株式会社が運営するケータイ小説投稿サイト。2007年5月オープン。掲載作品の一部は、同社から書籍化される。

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