野槌・蠍（読み）のつち

精選版 日本国語大辞典

の‐つ‐ち【野槌・蠍】

〘名〙 (「のづち」とも)

① (「つ」は「の」の意。「ち」は精霊の意) 野の神。

※書紀（720）神代上（兼方本訓）「次に草の祖(をや)草野姫(かやのひめ)を生みたまひき。亦は野槌(ノツチ)と名づく」

② 野にすむ蝮(まむし)・蝎(さそり)の類をいう。〔新撰字鏡（898‐901頃）〕

③ ＝つちのこ（槌子）⑤

※和漢三才図会（1712）四五「野槌(ノヅチ)蛇。〈合木蛇之属乎〉」

④ 妖怪(ようかい)の一種。

※本朝文粋（1060頃）一・観射寄左親衛将軍〈村上天皇〉「有_二異体者_一、名号為_二最明_一、野鎚誰得_レ辨、蝦蟇尤耐_レ驚」

⑤ 植物「われもこう（吾木香）」の異名。〔藻塩草（1513頃）〕

出典　精選版 日本国語大辞典