日本大百科全書(ニッポニカ) 「金華山(宮城県)」の意味・わかりやすい解説
金華山(宮城県)
きんかさん
宮城県東部、牡鹿半島(おしかはんとう)先端の島。「きんかざん」とも。半島とは幅約1キロメートルの金華山瀬戸で隔てられる。石巻市(いしのまきし)に属する。面積約10平方キロメートル。おもに花崗(かこう)岩からなる角錐(かくすい)状の島で、最高点は445メートル。西斜面には延喜(えんぎ)式内の古社金華山黄金山神社(こがねやまじんじゃ)がある。749年(天平勝宝1)の天平(てんぴょう)産金の地をこことする説(実際は遠田(とおだ)郡涌谷(わくや)町)にあやかり、信仰を集めてきた。中世以後、金華山大金寺として弁財天を安置していた。奥州藤原氏、葛西(かさい)氏に続いて、近世には仙台藩の保護を受けた。明治初年、神仏分離により黄金山神社となる。島はブナ、モミ、アカマツに覆われ、野生のサル、シカが生息する。太平洋に面する東岸には千畳敷などの海食台がある。三陸復興国立公園(旧、南三陸金華山国定公園)に含まれ、また自然休養林に指定されている。鮎川(あゆかわ)、女川(おながわ)から観光船が通じている。なお、沖合いは暖流と寒流が交わり、金華山沖漁場として知られる。人口7(2011年1月末日住民基本台帳)。
[後藤雄二]