金輪・鉄輪(読み)かなわ

精選版 日本国語大辞典 「金輪・鉄輪」の意味・読み・例文・類語

かな‐わ【金輪・鉄輪】

[1] 〘名〙
火鉢や囲炉裏(いろり)に置いて、鍋ややかんをかける鉄製の台。三本足で、輪を上にする場合と下にする場合とある。五徳。
散木奇歌集(1128頃)雑「前のすびつに、することもなくて、かなはといふものの立てるを見てよめる」
※俳諧・犬子集(1633)三「貴布禰川鉄輪の火かや飛蛍」
② 鉄輪の三つ足のような位置に、三人が向かい合ってすわること。
※俳諧・五元集(1747)亨「鴨川の鴨を鉄輪に雪見かな」
③ 金属製の輪。また、鉄製の車輪
※めぐりあひ(1888‐89)〈二葉亭四迷訳〉一「いきなりその鉄輪(カナワ)(おそらくは引手の)を二度突き鳴らして待って見て」
④ 緒(お)の結び方の名。金輪結び。
⑤ 紋所の名。輪を三つ、または四つ五つ組み合わせて図案化したもの。四つ金輪、五つ金輪、三つ組金輪、三つ並金輪など。
[2] (鉄輪) 謡曲。四番目物。各流。作者不詳。古名「貴布禰(きぶね)」。夫に捨てられた女が貴船の宮に丑(うし)の刻参りをし、鬼となって夫と後妻を襲うが、陰陽師晴明(せいめい)に祈られ退散する。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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