鈴木 光枝(読み)スズキ ミツエ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「鈴木 光枝」の解説

鈴木 光枝
スズキ ミツエ


職業
女優 演出

肩書
文化座代表

本名
佐々木 光枝

旧名・旧姓
鈴木

生年月日
大正7年 7月29日

出生地
東京市 神田区(東京都千代田区)

学歴
東京市立第一高女(深川高)〔昭和7年〕中退

経歴
生家は菓子製造業。東京市立第一高女在学中の昭和7年、家業の不振を知って自ら退学届を出し、女優を志して親類の伝手で新劇名優井上正夫に師事。同年「乳姉妹」で初舞台。12年幹部に昇進するまで井上家に住み込んで修業。この間、11年井上の結成した演劇道場に入り、15年北条秀司原作「閣下」のおゆき役で注目を集めた。17年演劇道場の仲間である演出家・佐佐木隆や山形勲、山村聡らと劇団文化座を旗揚げ、18年佐佐木と結婚。20年満州で巡業中に終戦を迎えた。一座の母のような形でリーダー役を務め、42年夫と死別すると代表として劇団を牽引。一貫してリアリズムを基調とした創作劇を上演し、50年には「三人の花嫁」で初めて舞台演出を手がけた。62年女優となった一人娘・佐々木愛に代表を譲った。東京・神田生まれの江戸っ子ながら、土に生きる農民や社会の底辺にありながら逆境をはね返して生きる女性役で強い存在感を示し、中でも19年初演の三好十郎原作「おりき」のおりき役、35年初演の山代巴原作「荷車の歌」のセキ役を最大の当たり役とした。「おりき」は初演以後長く封印してきたが、57年自らの演出・主演で再開し、平成10年まで通算上映回数は500回を超えた。2年にはセキ役を長女・愛に譲り、自身は演出を担当した。また老農婦であるおりき役を26歳で初演するなど、若い頃から老け役を得意とし、コミカルな味わいもみせた。他の舞台に「土」「越後瞽女日記」「サンダカン八番娼館」「いろは金平糖」などがある。昭和57年紫綬褒章、平成3年勲四等宝冠章を受章。他の出演作に、映画「ひめゆりの塔」「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」、テレビ「おはなはん」「鳩子の海」「マー姉ちゃん」「徳川家康」などがある。

受賞
紫綬褒章〔昭和57年〕,勲四等宝冠章〔平成3年〕 芸術祭優秀賞〔昭和50年〕「三人の花嫁」(演出)

没年月日
平成19年 5月22日 (2007年)

家族
夫=佐佐木 隆(演出家),長女=佐々木 愛(女優)

伝記
女優二代―鈴木光枝と佐々木愛私が演じた女の生き方 大笹 吉雄 著鈴木 光枝 著(発行元 集英社ささら書房 ’07’86発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

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