鉄道総合技術研究所(読み)テツドウソウゴウギジュツケンキュウジョ

デジタル大辞泉 「鉄道総合技術研究所」の意味・読み・例文・類語

てつどうそうごうぎじゅつ‐けんきゅうじょ〔テツダウソウガフギジユツケンキウジヨ〕【鉄道総合技術研究所】

鉄道に関する技術的・人間科学的な試験研究開発コンサルティングなどを行う、JRグループの研究機関。公益財団法人日本国有鉄道が行っていた研究開発を継承する法人として昭和61年(1986)に設立JR総研鉄道総研RTRI(Railway Technical Research Institute)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄道総合技術研究所」の意味・わかりやすい解説

鉄道総合技術研究所
てつどうそうごうぎじゅつけんきゅうしょ

鉄道技術や鉄道労働科学に関する研究開発、調査、コンサルタントを手がける機関。略称はJR総研、または鉄道総研。英語名はRailway Technical Research Institute。日本国有鉄道(国鉄)時代の1986年(昭和61)に、本社の技術開発部門および、鉄道技術研究所(1949年設立)と鉄道労働科学研究所(1963年設立)等の業務を継承する財団法人として設立された。翌1987年のJR発足後、本格的な事業活動を開始し、鉄道技術および鉄道労働科学に関する基礎から応用にわたる総合的な研究開発や調査を行う。2011年(平成23)4月、財団法人から公益財団法人に移行した。北海道旅客鉄道(JR北海道)、東日本旅客鉄道(JR東日本)、東海旅客鉄道JR東海)、西日本旅客鉄道(JR西日本)、四国旅客鉄道JR四国)、九州旅客鉄道(JR九州)および日本貨物鉄道(JR貨物)のJR7社が、設立基金および毎年の負担金を出している。研究開発の柱は大きく三つある。鉄道に関する基礎研究、実用的な技術開発、将来に向けた研究開発である。具体的な研究開発の方向として、安全性の向上、低コスト化、環境との調和、利便性向上を目ざしている。

 研究所としては、東京都国分寺市に国立(くにたち)研究所があり、都心に3オフィスがある。実験所は全国に以下の4か所がある。

(1)風洞技術センター(滋賀県米原(まいばら)市) 高速走行時に車両から発生する空力騒音や空気抵抗を低減するための、低騒音性能と高い風速性能とを備えた大型低騒音風洞を使った技術開発。

(2)塩沢(しおざわ)雪害防止実験所(新潟県南魚沼(みなみうおぬま)市) 雪氷現象や雪害対策のための実験装置を使った解析研究。

(3)日野(ひの)土木実験所(東京都日野市) 保守コストや騒音・振動低減を目ざした軌道構造の研究開発。

(4)勝木(がつぎ)塩害実験所(新潟県村上市) 耐塩害電車線材料の開発、給電線路の塩害防止の実験研究。

 ところで、1996年(平成8)まで研究所所管の超伝導リニア実験線が宮崎県に宮崎リニア実験線(日向(ひゅうが)市―都農(つの)町間、総延長7.0キロメートルの単線)として運用されていたが、1997年に山梨県内に移転し、山梨リニア実験線(笛吹(ふえふき)市―大月(おおつき)市―都留(つる)市―上野原(うえのはら)市間、総延長42.8キロメートルの複線)となり、具体的なリニア開発線としてJR東海の主管となった。同実験線はリニア中央新幹線ルートに組み込まれる計画である。山梨リニア実験線での成果として、2003年に有人走行による世界記録、時速581キロメートルを記録。2005年3月、国土交通省の超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会から「技術開発は大きく前進し、超電導磁気浮上式鉄道について実用化の基盤技術が確立したと判断できる」と評価された。

[土居靖範 2018年7月20日]

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