銀子・員子(読み)いんつう

精選版 日本国語大辞典 「銀子・員子」の意味・読み・例文・類語

いん‐つう ヰン‥【銀子・員子】

〘名〙 (「銀子」の近世唐音から出た語) 中国から渡来した純良な金銀。転じて、一般に金銀、貨幣をさす。金銀。ぜに。金子(きんす)。いんつ。
浮世草子・好色一代男(1682)六「前代未聞傾城(けいせい)ぐるひ、男はよし、ゐんつうは有、親はなし、浮世は隙(ひま)、此両人栄花をきはめ」
[語誌]語源は「銀子」と思われるが、純良な金塊である「印子金」の「印子」の可能性も考えられる。これらは中世唐音では、ギンス(銀子)、インス(印子)であったが、近世唐音では、「子」はツ(ウ)となり、「銀」は頭子音 ng脱落によってインとなるので、ともにインツ(ウ)となる。また「員子」と書かれることもあり、「ゐんつう」という仮名書きはこれに対応する。なお、インス、ギンスも近世期を通じて使われた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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