日本大百科全書(ニッポニカ) 「銭(ぜに)」の意味・わかりやすい解説
銭(ぜに)
ぜに
「鳥目(ちょうもく)」「おあし」などと同様に、貨幣に対する俗称として用いる場合もあるが、通常は、日本で近代以前に使用された貨幣のうち、おもに円形で中央に穴のある金属鋳貨をさす。官銭として708年(和銅1)に鋳造された「和同開珎(わどうかいちん)」、室町時代に明(みん)から輸入された「永楽通宝」、江戸時代の「寛永(かんえい)通宝」などが有名である。なお、1969年(昭和44)に平城京跡、ついで1991年(平成3)に藤原京跡から富本銭(ふほんせん)が発見され、和同開珎以前の銭ではないかとして注目されたが、流通貨幣ではなく、宗教的行事のために用いられた厭勝銭(えんしょうせん/ようしょうせん)ではないかという説が有力である。
[齊藤 正]
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