鋭・尖(読み)するどい

精選版 日本国語大辞典 「鋭・尖」の意味・読み・例文・類語

するど・い【鋭・尖】

〘形口〙 するど・し 〘形ク〙
① 勇ましくてつよい。精鋭である。
※中華若木詩抄(1520頃)上「周瑜等いかにもするとき武者を遣して、皷をうって雷動して進む也」
② 非情である。冷淡である。つれない。とげとげしい。
浄瑠璃・猫魔達(1697頃)三「めのと夫婦に立わかれ、しかもするどき尼寺に、ばうぜんとしておはします」
③ 勢いが激しい。とげとげしい。きびしくて、心に突きささるような感じである。
※浄瑠璃・日高川入相花王(1759)四「早追っかけよとするどき詞、聞くよりすっくと立上り」
④ はやい。物事支障なく速やかに行なわれる。
※重刊改修捷解新語(1781)八「きのうわするどう御つきなされましてめでたうぞんじまする」
⑤ とがっている。鋭角的である。鋭利である。〔和英語林集成(初版)(1867)〕
※尋常小学読本(1887)〈文部省〉六「獅子の足には、鋭き爪ありて」
⑥ 感覚が鋭敏である。感覚がこまやかで、すばやく的確に本質をとらえるさま。
※それから(1909)〈夏目漱石〉四「疳(かん)の鋭(スル)どい代助は、三千代の言葉を聞くや否や、すぐ其用事の何であるかを悟った」
するど‐さ
〘名〙

するど【鋭・尖】

〘形動〙
① 物が鋭くとがっているさま。鋭利なさま。
※南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)一「其の底尖(スルト)なるに由りて、鉢動転(かひろ)がず」
※水墨集(1923)〈北原白秋〉初冬の空・大山「わが見る空をかぎりて、するどに尖(とが)る山あり」
② 心を突き刺すような気迫があるさま。勇ましくてつよいさま。また、必死なさま。
太平記(14C後)三九「雲鳥の陣堅して、逞卒機尖(スルド)なれば、〈略〉千騎に足ぬ小勢にて懸合すべしとは不覚」
※評判記・色道大鏡(1678)一五「然らば風流ならんかとおもへば、姿銛(スルド)にして優なる処をしらず」
③ 行動や反応がすばやいさま。感覚が鋭敏なさま。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)二「耿介は、するどに、つつと、ぬけた方ぞ」
④ 態度や顔つきがきびしくて取りつきにくいさま。とげとげしくつっけんどんなさま。
※浮世草子・男色十寸鏡(1687)上「かたぎ色黒にして、風俗するどに、ものいひ鄙びたる人も」
⑤ 程度がはなはだしくて痛烈なさま。
滑稽本・大千世界楽屋探(1817)口絵「鬼瓦するどに暑き日の影も廻る風見に涼しさぞしる」

するど・し【鋭・尖】

〘形ク〙 ⇒するどい(鋭)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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