鎖・鐺・鏈・鋂・鏁(読み)くさり

精選版 日本国語大辞典 「鎖・鐺・鏈・鋂・鏁」の意味・読み・例文・類語

くさり【鎖・鐺・鏈・鋂・鏁】

〘名〙 (動詞「くさる(鏈)」の連用形の名詞化)
① 金属製の輪を次から次へとつなぎ合わせて作った紐、または綱。兵具鎖(ひょうぐぐさり)、総鎖、八重鎖、南蛮鎖などの種類がある。鎖金(くさりがね)
書紀(720)仁徳四一年三月(北野本室町時代訓)「鉄(くろかね)の鎖(クサリ)(〈別訓〉つかり)を以て酒君を縛(ゆ)ひて」
徒然草(1331頃)一二一「走る獣は檻(をり)にこめ、くさりをさされ」
② 物と物とをつなぐこと。ものをいくつもつなぎ合わせること。また、そのもの。きずな。つがり。
吾妻問答(1467頃)「詞のくさりなど、いつもの事なりとも」
即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉慰藉「此の如く因果の鐺(クサリ)を手繰りもて行くに」
③ 語りもの、謡(うた)いものなどの一段落。接尾語的にも用いる。段。くぎり。
※滑稽本・浮世床(1813‐23)二「マア、一くさり聴てからの直打さ」
※太平記(14C後)八「鏁(クサリ)の上に鎧を重ねて着」
⑤ (九つの節がつながっているところから) のど。のどぶえ。
浄瑠璃女殺油地獄(1721)下「音ほね立るな女めと、吭(ふゑ)のくさりをぐっと刺す」
⑥ 骨の関節
日葡辞書(1603‐04)「ホネノ cusari(クサリ)
⑦ かんじんのところ。だいじなところ。
歌謡・松の葉(1703)四・寛濶一休「山伏大きに怒りをなし、ここがくさりの一杯入れ、続きの奇特を見せ給へと」
江戸時代鉱山などで鉱石のことをいう。
⑨ 失敗すること。
※浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)中「伊勢へ通しにいった時よひからあかつき明星茶屋でのみほす様な大ぐさり」
⑩ (数学で) =さ(鎖)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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