長尾峠(読み)ながおとうげ

日本歴史地名大系 「長尾峠」の解説

長尾峠
ながおとうげ

箱根はこね外輪山を越えて御殿場市二子ふたごと神奈川県箱根はこね仙石原せんごくはらを結ぶ峠で、標高は九一一メートル。大永五年(一五二五)四月二六日、氏尭(葛山氏もしくは北条氏)二岡にのおか権現(現二岡神社)の禰宜左衛門大夫に対して御厨みくりや領内を通る三山道者(伊豆・箱根・三島の三権現を順拝する者)は二岡権現前を通ることを命じている(「氏尭判物」内海文書)。戦国時代に二岡権現前から箱根山を越える道があったことが推定され、その位置関係から当峠越の道であったと考えられる。その後の記録は少なく、江戸時代の様子はわからないが、明治二四年(一八九一)に英国人バンテングが植物採取のため箱根山に入って道に迷い、二岡神社に辿りついていることから(旧御殿場町役場文書)、峠を越える山路があったことがうかがえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「長尾峠」の意味・わかりやすい解説

長尾峠
ながおとうげ

神奈川県の西端足柄下(あしがらしも)郡箱根町と静岡県御殿場市(ごてんばし)との境にある峠。箱根火山の外輪山の北西部にあり、かつての国道138号は早川の渓谷沿いに登って当峠をトンネルで抜け御殿場市へ通じた。標高903メートル。このあたりの峠道は、昔は丸岳の北の乙女峠(おとめとうげ)(1005メートル)を越えていたが、改修にあたってその急坂を避けて、長尾峠道が開かれ国道となった。ここは箱根外輪山を過ぎる峠道のうち、富士山展望の最良地として知られる。1964年(昭和39)には乙女峠をトンネルで抜けるバイパス乙女道路(総延長5575メートル)が通じ、1984年乙女道路の無料化により乙女峠越えのルートが国道138号に変更された。

[浅香幸雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「長尾峠」の意味・わかりやすい解説

長尾峠
ながおとうげ

神奈川県箱根町と静岡県御殿場市との境にある峠。箱根山の外輪山西壁を越える峠の1つで,標高 911m。芦ノ湖スカイラインに続く箱根スカイラインが通る。富士山の展望は外輪山の峠のなか随一といわれる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

事典・日本の観光資源 「長尾峠」の解説

長尾峠

(神奈川県足柄下郡箱根町)
関東・観光バスで行く名所100選指定の観光名所。

長尾峠

(神奈川県足柄下郡箱根町)
かながわの景勝50選」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android