20世紀日本人名事典 「長谷川 時雨」の解説
長谷川 時雨
ハセガワ シグレ
明治・大正期の劇作家,小説家,随筆家
- 生年
- 明治12(1879)年10月1日
- 没年
- 昭和16(1941)年8月22日
- 出生地
- 東京府日本橋区(現・東京都中央区)
- 本名
- 長谷川 ヤス
- 経歴
- 厳しい教育方針で育てられ、明治30年結婚したが、破局し文筆生活に入る。小説、歌舞伎脚本、舞踊劇、劇評などの分野で幅広く活躍した。34年処女小説「うづみ火」が「女学世界」に当選し、38年処女戯曲「海潮音」が「読売新聞」の懸賞で特選となる。41年「覇王丸」が日本海軍協会の脚本懸賞に当選し、44年には史劇「さくら吹雪」(旧題「操」)が歌舞伎座で上演され劇作家として認められる。45年舞踊研究会を結成、また「シバヰ」を創刊。大正3年狂言座を結成。5年頃から三上於莵吉と同棲し、美人伝の仕事に専念し、「美人伝」「近代美人伝」「名婦伝」などを刊行。傍ら「童話」などに児童劇「やつてみつこ」などを執筆する。また、12年岡田八千代と「女人芸術」を創刊したが、関東大震災のため2号で中絶、昭和3年に三上於莵吉の協力で復刊させ、林芙美子、円地文子らを育てた。8年には婦人団体・輝ク会を結成するなど、幅広く活躍した。その他の代表作に「落日」「ある日の午後」「旧聞日本橋」などがあり、「長谷川時雨全集」(全5巻 日本文林社)も刊行されている。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報