長閑・閑(読み)のどか

精選版 日本国語大辞典 「長閑・閑」の意味・読み・例文・類語

のど‐か【長閑・閑】

〘形動〙 (「か」は接尾語) さしせまった感じや、きわだった動きがなく、静かで穏やかなさま。のど
① 状態、雰囲気(ふんいき)などが、静かで穏やかなさま。
※平中(965頃)三五「うらうらと春なりければ、海いとのどかになりて」
② 天気がよく、静かで穏やかなさま。《季・春》
大和(947‐957頃)三「あをやぎのいとうちはへてのどかなるはる日しもこそおもひいでけれ」
性質態度動作などが、ゆったり落ち着いていて、静かで穏やかなさま。
蜻蛉(974頃)中「人は童、大人ともいはず儺やらふ儺やらふと騒ぎののしるを、我のみのどかにてみきけば」
④ のんびりとくつろいでいるさま。時間的にゆとりのあるさま。また、物事が長びくさま。
※蜻蛉(974頃)上「今日だにのどかにと思ひつるを、便なげなりつれば。いかにぞ」
⑤ さしせまった用事もなく、暇なさま。
源氏(1001‐14頃)浮舟「大将殿、すこしのどかになりぬる頃、例の、忍びておはしたり」
⑥ 気にかけないさま。のんきなさま。安心しているさま。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「いづれの人か御心のどかにて籠りおはせん」
[補注]名詞として用いられた例も見られる。「手鞠唄、紙鳶(たこ)のうなりも自然(おのづから)長閑(ノドカ)をさそふ往来の」〔滑・七偏人‐初〕など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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