間人(もうと)(読み)もうと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「間人(もうと)」の意味・わかりやすい解説

間人(もうと)
もうと

中世村落において、そこに居住はしているがまだ住み着いてからの歳月が浅く、完全な村落成員(住人)としての権利を与えられていない人をいう。浮浪するか一時的に居住する浪人と住人の中間に位置する村落共同体における一つの身分である。13世紀中葉の若狭(わかさ)国太良荘(たらのしょう)(福井県小浜(おばま)市)では、間人が家をもち乞食(こじき)の盲目法師を寄宿させており、15世紀前半の丹波(たんば)国多紀(たき)郡主殿(とのも)・犬甘保(いぬかいほ)(兵庫県丹波篠山(ささやま)市)では、鍛冶(かじ)と紺屋(こうや)が間人と称されていた。15世紀後半の太良荘の史料に「昨日今日この地に住みついたような間人」という侮蔑(ぶべつ)的な表現がみられ、間人が新参の住民であることがわかる。

[峰岸純夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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