普及版 字通 「阿(漢字)」の読み・字形・画数・意味
阿
人名用漢字 8画
[字訓] くま・のき・しなやか・こびる
[説文解字]
[金文]
[字形] 形声
声符は可(か)。〔説文〕十四下に「大陵を阿と曰ふ。(ふ)に從ひ、可の聲なり。一に曰く、阿は曲れる(をか)なり」(段注本)とみえる。可声が阿となるのは圭(けい)・奇(き)が蛙(あ)・倚(い)となるのと同じ。可は、(木の枝)で祝詞を収めた器である(さい)を殴(う)ち、神の許可を求める意。は神の降下する神梯。たいてい山陵の屈曲したところで、その下で儀礼を行う。
[訓義]
1. 山のくま、山のわき、さか、くま、ふもと、おか。水ならば入りこんだ岸。
2. 家の形にたとえて、のき、むね。
3. ゆるやかな傾斜、ななめ。その姿勢より、寄る、近寄る。
4. 猗・委・依と通用し、しなやかなさま、やわらかなさま、ゆっくりする、こびる意に用いる。
5. 親しみを含めた接頭語。人に対して用いる。また物にもいう。
6. と通用し、細(ほそぎぬうすぎぬ)をいう。
7. 〔玉〕に「北なり、邸(やしき)なり」の訓がある。北は隈の意からの転義であろう。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕阿 クマ・キシ・マガレルキシ・ヤノムネ・ヨル・シタガフ・キタ・オモネル
[声系]
阿を声符とするものとして〔説文〕に婀・(痾)の二字を収める。女子の姿態や病気の意に用いるのは、その萎(な)えた姿をいうものであろう。
[語系]
阿・aiは同声。猗iai、委iuai、依iiなどはみな、しなやかなさまをいう語で、もと一系の語であろう。それで阿(あだ)・猗儺(いだ)・委蛇(いだ)・依遅(いち)・婀(あだ)などの連語はみな、あでやか、しなやかなさまをいう。
[熟語]
阿阿▶・阿姨▶・阿意▶・阿吽▶・阿婉▶・阿翁▶・阿伽▶・阿哥▶・阿街▶・阿▶・阿閣▶・阿監▶・阿丘▶・阿舅▶・阿曲▶・阿兄▶・阿姑▶・阿公▶・阿衡▶・阿子▶・阿私▶・阿姉▶・阿戎▶・阿従▶・阿叔▶・阿順▶・阿女▶・阿丈▶・阿嬢▶・阿誰▶・阿世▶・阿▶・阿那▶・阿▶・阿大▶・阿▶・阿茶▶・阿弟▶・阿諂▶・阿▶・阿奴▶・阿党▶・阿儂▶・阿伯▶・阿比▶・阿鼻▶・阿媚▶・阿附▶・阿父▶・阿偏▶・阿保▶・阿母▶・阿媽▶・阿妹▶・阿▶・阿爺▶・阿▶・阿邑▶・阿老▶
[下接語]
依阿・海阿・巌阿・九阿・丘阿・曲阿・隅阿・谿阿・迎阿・軒阿・谷阿・山阿・四阿・私阿・順阿・城阿・水阿・垂阿・崇阿・川阿・層阿・大阿・中阿・長阿・庭阿・洞阿・平阿・偏阿・妄阿・門阿・陵阿・阿・林阿
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報