日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿南(町)」の意味・わかりやすい解説
阿南(町)
あなん
長野県南部、下伊那郡(しもいなぐん)にある町。1957年(昭和32)大下条(おおしもじょう)、旦開(あさけ)、和合(わごう)の3村が合併して町制施行。1959年富草(とみくさ)村と合併。天竜川の右岸を占めるが、赤石山脈の延長部にあたり、県下でも有数の山村で、天竜川沿いのJR飯田(いいだ)線が唯一の連絡口をなす。典型的な過疎地で、1950年代の人口ピーク時に比し2010年(平成22)には45%ほどに減少している。近世は東海地方へ通じる遠州(えんしゅう)街道(国道151号)が通り、現在は国道418号が交差する新野(にいの)はその宿場をなしたが、明治末期からは衰退した。隔絶地のため古い伝統文化が保存され、新野の雪祭りは国の重要無形民俗文化財。新野の盆踊り、和合の念仏踊、早稲田(わせだ)人形など民俗的行事が多いことで知られる。標高800メートルの新野は、県下で最初の学生村を始めた所で、ハナノキ自生地もある。面積123.07平方キロメートル、人口4299(2020)。
[小林寛義]
[補完資料] |