除法(読み)じょほう

精選版 日本国語大辞典 「除法」の意味・読み・例文・類語

じょ‐ほう ヂョハフ【除法】

〘名〙 乗法の逆演算割算

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デジタル大辞泉 「除法」の意味・読み・例文・類語

じょ‐ほう〔ヂヨハフ〕【除法】

ある数や式を零以外の他の数や式で割って商を求める計算法。割り算。⇔乗法
[類語]割り算除算

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「除法」の意味・わかりやすい解説

除法
じょほう

割り算のこと。2数abが与えられたとき、abの何倍であるかを求めるとき、および、aがある数のb倍にあたるときの、もとのある数を求めるとき、の両方の場合に除法(a÷b)が用いられる。前者は、aの中にbが何回含まれるかの数を求めること(包含除という)を拡張したものであり、後者は、b整数のときはab等分した一つ分を求めること(等分除という)を拡張したものといえる。なお、包含除は、aからbを繰り返して引いていき、引きうる最大回数を求めることと一致する。除法では、0で割ることはできない。a÷bで、a被除数b除数といい、除法の結果として得られる数を商という。この商をcとすると、a÷bcである。このときb×caが成り立つ。つまり、除法と乗法とは、互いに逆の計算ということができる。たとえば、20÷5=4であるが、このとき5×4=20となる。また、23÷5=23/5であるが、このとき5×(23/5)=23となる。

 整数の範囲だけで除法を考えるとき、23÷5のように、a÷bで、ab×cとなる整数cが存在しないことがある。このときは、ab×qr(0≦rb)となる整数qrを定めることができる。このqを商(前の商と区別するときは整商)、r余りという。23÷5では、23=5×4+3から、商は4、余りは3である。たとえば、1296÷48の商を求めるには、まず被除数の上3桁(けた)129をとり、これが除数48の2倍と3倍の間にあることをみつけ、商の十の位2を定める。次に、129-48×2=33を求め、これと被除数の一の位の数6から、336÷48を計算して7を得る。これが商の一の位の数である。このようにして、1296÷48=27が求められる。


 分数どうしの除法では、ある数aで割るかわりに、a逆数を掛ければよい。aの逆数は、2/5に対して5/2のように、aとの積が1になるような数である。したがって、たとえば

 無理数を含む場合の除法は、その無理数に収束する有理数列をとり、それらの各項の商がつくる有理数列の極限値をとればよい。とくに、累乗根については、a>0, b>0のとき、

が成り立つ。

 複素数についても除法が定められる。


ここで、iである。文字式でも除法が定められる。単項式では、数どうしの商に、文字どうしの商を掛け合わせればよい。同じ文字どうしの商am÷anは、mnのときam-nで、mnのとき1、mnのとき1/an-mとなる。文字が一つの多項式ABについては、A÷BA/Bのように、商として分数式が得られる。また、多項式の範囲だけで考えるときは、ABQRRBより次数が低い)となる多項式QRが定まる。このとき、Qを商(前の商と区別するとき整商)、Rを余りという。

[三輪辰郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「除法」の意味・わかりやすい解説

除法
じょほう
division

四則計算の一つ。割り算。除法は乗法の逆演算として生じるが,複比例型の直積のような乗法からは直接的には生じにくく,倍拡大ないしは正比例型に関係する。倍拡大型の yx×r でいえば yr 等分するときの xy÷r ,正比例型の yax でいえば x単位に対する y としての比例定数 a を求める ay÷x を「等分除」という。この場合は,y を等分することにあたっているからで,除法というと「いくつかに分ける」といったイメージはこちらからきている。これに対して,倍拡大型でいえば ry÷x ,正比例型でいえば xy÷a のほうは,たとえば y のなかに x がいくつ含まれているかを問題にするので,「包含除」といわれる。演算としては,普通の数の乗法では交換法則が成立して同じことになるが,算法の意味づけとしては異なる。日常的にも6÷2というのを「6を2つに分けたら」とか「6のなかには2がいくつ」といったように,二様の場面で除法を使っている。

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改訂新版 世界大百科事典 「除法」の意味・わかりやすい解説

除法 (じょほう)

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普及版 字通 「除法」の読み・字形・画数・意味

【除法】じよほう

割算。

字通「除」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の除法の言及

【四則】より

…分数の間では,次のような演算ができる。この和,差,積,商を得る4種類の基本的演算,加法,減法,乗法,除法を四則演算という。ただし,除法では0で割ることは考えない。…

※「除法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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