雉・雉子(読み)きじ

精選版 日本国語大辞典 「雉・雉子」の意味・読み・例文・類語

きじ【雉・雉子】

〘名〙
キジ科の鳥。形はニワトリに似るが尾が長く、全長約八〇センチメートル。雄は暗緑色を主体とした羽色で、複雑な模様があり、目の周囲は赤色の皮膚が裸出する。尾は四〇センチメートル弱で、とがり、灰褐色の地に多数の黒帯がある。雌はやや小さく、尾は二〇センチメートル前後。全体に黄褐色で、黒褐色の斑紋が散在草原、低木林、林縁などにすみ、地上性で、草木の実や昆虫などを食べる。四~七月の繁殖期に雄はケン・ケーンと二声に鳴く。日本特産で、本州・四国・九州に分布。日本の国鳥。学者によってはアジア大陸産のコウライキジ同種とする。きぎす。きぎし。《季・春》
古今(905‐914)雑体・一〇三三「春の野の繁き草葉の妻恋ひにとび立つきじのほろろとぞなく〈平貞文〉」
② キジ科の鳥のうち、キジに近縁な鳥の総称。大形、雌雄異色で、尾の比較的長い点で共通の特色があり、ヤマドリ、キンケイギンケイや、ときにはクジャクまでも含む。キジ類と総称されるが、分類学上のグループではなく、ウズラシャコ類との間に線を引くことができない。唯一種を除いて、すべてアジア南部産。
③ 「きじやき(雉焼)」のこと。
※雑俳・柳多留‐四〇(1807)「俗ぶつさ鰹に雉子の味(あぢ)をつけ」
[語誌]万葉東歌、記紀歌謡の仮名表記には「きぎし」とあり、古くは多く「きぎし」と呼ばれていたが、「古今六帖」には「きじ」が項目名となっており、「きじ」が六首、「きぎす」が二首見られる。後者は共に万葉の歌だが、「きぎし」から「きぎす」に移行した時期は不明。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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