離陸補助ロケット(読み)りりくほじょロケット

改訂新版 世界大百科事典 「離陸補助ロケット」の意味・わかりやすい解説

離陸補助ロケット (りりくほじょロケット)

航空機自身の推進装置のみでは離陸困難な場合に,離陸から安定に飛行しうるようになるまでの間,推力を増大するために補助的に使用されるロケットエンジン。このような離陸方法をラトーRATO(rocket assisted take offの略)と呼ぶ。小型軽量で短時間に大推力を出せるロケットエンジンの特性を利用したもので,使用秒時によるが,通常固体ロケットエンジンが使われることが多い。使用後投棄されるのがふつうである。ランチャー発射の宇宙船,ミサイル,無人航空機などのブースターもその一種といえる。ジェットエンジンの推力は,飛行速度でそれほど大きく変わらず,エンジンの軸動力を用いプロペラで推力を発生する場合のように低速時に推力が増大することがないので,初期の,推力と全機重量との比の小さいジェット機では離陸補助ロケットがよく使われた。
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百科事典マイペディア 「離陸補助ロケット」の意味・わかりやすい解説

離陸補助ロケット【りりくほじょロケット】

飛行機の離陸に必要な滑走長を短縮,または規定以上の過大重量で離陸を要する場合に用いる補助推力発生手段。主として固体推進剤の小型ロケットで,必要数を機体に一定角度で取り付け上向きの推力を発生させる。
→関連項目ブースターロケット(工学)

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世界大百科事典(旧版)内の離陸補助ロケットの言及

【ブースター】より

… まれには多段ロケットの各段エンジンを第1段ブースター,第2段ブースターなどの名で呼ぶことがある。【秋葉 鐐二郎】 飛行機の場合,離陸時に離陸距離の短縮などを目的としてロケットエンジンを用いたこともあるが(このような方法をRATO(ラトー)(rocket assisted take offの略),これに用いられるロケットを離陸補助ロケットという),現在ではほとんど実用されていない。なお,電気工学の分野では電圧降下を補う昇圧用の発電機や変圧器,あるいはアンテナとテレビ受像機の間に接続される増幅器などのことをブースターと呼んでいる。…

※「離陸補助ロケット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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