日本大百科全書(ニッポニカ) 「霊山(山)」の意味・わかりやすい解説
霊山(山)
りょうぜん
福島県北東部、相馬市(そうまし)と伊達市(だてし)霊山町地区の境界にある山。三角点の標高825メートル。阿武隈高地(あぶくまこうち)の北部にあり、山名は、かつてこの山にあった慈覚(じかく)大師円仁(えんにん)の開基と伝えられる霊山寺にちなむ。基盤は花崗閃緑(かこうせんりょく)岩で、その上に新第三紀の火山角礫(かくれき)岩を主とする霊山層が載り、それが長年の侵食、風化作用でとくに西側に急崖(きゅうがい)を形成する。奇岩が屹立(きつりつ)するが、頂上は平坦(へいたん)面として残る。岩塊流その他の化石もみられ、周氷河地形もある。山上、山麓には霊山寺跡があり、南北朝時代には一部伽藍を利用して陸奥守(むつのかみ)北畠顕家(きたばたけあきいえ)が義良親王を奉じて足利(あしかが)側と戦った霊山城跡、顕家が多賀城から移した国司館跡などがあり、霊山全体が国の史跡・名勝に指定されている。また霊山県立自然公園ともなっている。
[安田初雄]
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