霊山寺(奈良市)(読み)りょうぜんじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「霊山寺(奈良市)」の意味・わかりやすい解説

霊山寺(奈良市)
りょうぜんじ

奈良市富雄中(とみおなか)町にある霊山寺真言(しんごん)宗(単立)の寺。山号は鼻高山(びこうさん)または登美山(とみさん)。本尊薬師如来(やくしにょらい)。推古(すいこ)天皇のとき小野富人(おののとみひと)(小野妹子(いもこ)の子)が湯屋(とうおく)をつくり、薬師如来を安置して病人たちを治療したのに始まり、聖武(しょうむ)天皇の勅命で、736年(天平8)行基が堂塔を建立し、東大寺大仏開眼(かいげん)のため来日した婆羅門僧正(ばらもんそうじょう)(菩提僊那(ぼだいせんな))が霊山寺と名づけたと伝える。1283年(弘安6)北条時頼(ときより)が寺領を寄進し、堂宇を再建した。本尊の薬師三尊像(国重要文化財)は1067年(治暦3)の作。そのほか十一面観音(かんのん)像(平安初期)、運慶作の地蔵菩薩(ぼさつ)など重文指定の仏像が多い。また本堂(鎌倉時代)は国宝、三重塔(鎌倉時代)、鐘楼(室町時代)、1384年(元中1・至徳1)建立の鎮守社殿三棟は重文に指定されている。

宮坂宥勝

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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