非致死性兵器(読み)ひちしせいへいき(英語表記)nonlethal weapons

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「非致死性兵器」の意味・わかりやすい解説

非致死性兵器
ひちしせいへいき
nonlethal weapons

人に対し致命的な殺傷手段を使わず,また兵器や装備などを壊滅させずに,敵の戦闘能力を無力化する兵器。ノンリーサル兵器ともいう。冷戦が終結したのち,局地紛争や平和維持活動などへの対応をより重要視している欧米諸国では,特に隠密作戦を遂行するため,あるいは報道機関が注視するなかで過剰な殺傷行為や破壊活動を避ける必要性から,非致死性兵器の研究が行なわれている。1991年の湾岸戦争でアメリカ軍は,導電性繊維を散布してイラクの送電ラインを寸断する作戦を試みた。軍事への転用が可能なものとしては,光学装置の機能を破壊し人間の視力を一時的に奪うレーザーや,アンテナや電子装置に障害をもたらす電磁パルスなど,人間の神経や機械装置の機能を阻害する技術などがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「非致死性兵器」の意味・わかりやすい解説

非致死性兵器【ひちしせいへいき】

人間に致命傷を与えずに,敵の戦闘能力を失わせる兵器。ノンリーサル・ウェポンズnonlethal weaponsとも。地域紛争における平和維持活動などの際,テレビなどの報道機関の前で殺傷行為をさらさないようにする目的で,欧米を中心にこの種の兵器の研究が進められている。暴動鎮圧用の致命傷を与えないゴム弾,視力を麻痺させたり光学機器を破壊するレーザー,電子機器に損傷を与える電磁パルス発生装置,道路滑走路を滑りやすくしたり,べとつかせたりする薬剤などさまざまな種類がある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android