デジタル大辞泉
「宮仕」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
みや‐づか・う ‥づかふ【宮仕】
[1] 〘自ハ下二〙
※
万葉(8C後)六・一〇三五「たど川の滝を清みかいにしへゆ宮仕
(みやつかへ)けむ多芸の野の上に」
②
宮廷または貴人の邸に仕える。宮仕えをする。
奉公する。
※
源氏(1001‐14頃)椎本「人もいとやむごとなからずみやつかへなれにたれど」
③ 貴人などに仕えて、
身の回りの世話などをかいがいしくする。
忠勤をはげむ。
※とはずがたり(14C前)一「ねいらて宮づかへ、
女房はなにこともこはこはしからす」
※
地蔵菩薩霊験記(16C後)一一「人々の御為に地蔵菩薩にみやづかへ奉て不思議の御利生にあづかり」
[2] 〘自ハ四〙
① (一)②に同じ。
※
愚管抄(1220)三「その時五位蔵人、左少辨とて、時の職事なれば、ちかくみやづ
かひておはしけるに」
② (一)③に同じ。
※平家(13C前)八「
建礼門院のいまだ
中宮にてましましける時、その
御方に宮つかひ給ひしを」
③ (一)④に同じ。
※平家(13C前)一「したどのに候もろもろのかたは人にまじはって、一千日が間朝夕みやづかひ申さむとなり」
[3] 〘他ハ四〙 宮仕えさせて召し使う。奉公させて使う。
※
古今著聞集(1254)一六「みやづかふに、かひがひしくまめにて」
みや‐づかえ ‥づかへ【宮仕】
〘名〙
① 宮中に仕えること。また、宮廷に出仕すること。
※
書紀(720)天武二年五月(北野本訓)「夫れ初めて出身
(ミヤツカヘ)せむ者をば、先づ大舎人に仕へ令めよ」
※源氏(1001‐14頃)桐壺「この人の宮仕への
本意、必ずとげさせ奉れ」
※大和(947‐957頃)一四八「この宮づかへするところの北の方亡せたまうて」
③ 主人や
目上の者などの身のまわりの世話をすること。奉仕してかいがいしく尽くすこと。給仕すること。
※
落窪(10C後)一「この宮づかへいとわづらはしく侍れど」
※浄瑠璃・冥途の
飛脚(1711頃)下「舅御の臥悩の抱きかかへ、みやづかへは嫁の役」
④ 神仏に奉仕すること。
※栄花(1028‐92頃)玉のうてな「あはれなる尼なり。三時の花のみやづかへを仕うまつる」
⑤ 官庁・会社などに勤務すること。
※激流(1963)〈高見順〉三「殿木も宮仕(ミヤヅカ)えした以上は、ああいう道を辿らざるをえないね」
きゅう‐じ【宮仕】
〘名〙 宮中、または貴人に仕えること。みやづかえすること。
※源平盛衰記(14C前)三一「朝恩にも申し替へて、御宮仕(キウジ)申すべし」
※説経節・しんとく丸(1681‐88頃)四「よの中に、すまじきものはきうじ也、我奉公の身ならずは、かかるうきめを見もやせん」
みや‐づかい ‥づかひ【宮仕】
※宇津保(970‐999頃)国譲上「我が子になして、みやづかひをも、よろしからん事もせさせよとて」
みや‐じ【宮仕】
〘名〙 掃除などの雑役に従事した下級の社僧。
※百練抄‐治承元年(1177)四月一三日「神人宮仕等同中レ矢亡レ命」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の宮仕の言及
【北野天満宮】より
…北野には目代を置いて事務を処理した。祠官は宮仕(みやじ)と称し,松梅院,徳勝院,妙蔵院その他があり,江戸時代には松梅院が神事奉行として責任者となり,宮仕が交替して年預(ねんよ)となり社務をつかさどった。祭礼は25日が月例祭で,ほかに10月4日の〈ずいき祭〉など多い。…
※「宮仕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」