額衝・額突(読み)ぬかずく

精選版 日本国語大辞典 「額衝・額突」の意味・読み・例文・類語

ぬか‐ず・く ‥づく【額衝・額突】

〘自カ五(四)〙 (古くは「ぬかつく」) 額を地につけて礼拝する。丁寧に礼をする。
万葉(8C後)四・六〇八「相思はぬ人を思ふは大寺餓鬼の後(しりへ)に額衝(ぬかつく)ごとし」
読本・椿説弓張月(1807‐11)後「為頼おそるおそる父のまへに額(ヌカ)づきて」
[語誌](1)「観智院本名義抄」の「叩頭虫」の訓「ヌカツキムシ」は「ツ」に点が一つ打たれており、古くは清音であったと考えられる。ところが「文明本節用集」や「日葡辞書」では濁音になっており、室町期以降に濁音化したらしい。
(2)額を地面につけるという動作を表わすだけでなく、強大な力にひれ伏す、あるいは寺社に礼拝するといった宗教的所作であったと考えられる。
(3)古くは「ぬか(額)②」に挙げた「枕草子」例のように、「ぬか」だけで礼拝の意味があったらしい。また「ぬかをつく」という表現も「三宝絵詞」以下に用例があり、平安中期においても動詞として必ずしも熟していなかったようである。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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