風流(ふうりゅう)(読み)ふうりゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「風流(ふうりゅう)」の意味・わかりやすい解説

風流(ふうりゅう)
ふうりゅう

先人の遺風、伝統などをいい、とくに聖賢の伝えた流風や醇風(じゅんぷう)良俗をいったが、しだいに、上品で清浄優雅な趣(おもむき)や、優美でみやびやかなことなどをいうようになった。そして詩歌をつくり、管弦に親しんだりして世俗を離れた趣味の道に没頭することをいったり、またそれらの心情に支えられた色好みの行為をもいうようになった。平安末期ころからはさらに転じて、美しく着飾ることや、意匠を凝らして華奢(かしゃ)を尽くすことなどから、珍奇(数寄(すき))な趣向を凝らすことなどをさすようにもなった。中世の風流はもっぱらこの華美、華奢、数寄に類するものをいい、「風流」の名を冠した歌舞、音曲、演劇が多く現れたが、やがてこれらは、中世独特な芸道精神である枯淡幽玄といった美意識の成立で、風雅なことや文雅なこと(風流韻事)を強く意識することばとなり、近世の「粋(すい)」「いき」「通」といった生活美学の確立や文人趣味の成立は、こうした意識をさらに発展、拡充させて、風雅で洒脱(しゃだつ)な感覚に裏づけされた芸術的な営み一般をいうようになった。

[宇田敏彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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