飛越(読み)とびこえ

精選版 日本国語大辞典 「飛越」の意味・読み・例文・類語

とび‐こえ【飛越】

[1] 〘名〙
① とびこえること。高い所をとび上がって越すこと。また、その技。
平治(1220頃か)下「天狗と夜々兵法をならふと云々。早足・飛越、人間の業とは覚えず」
② とびこすことができるほどの小さい溝。とびこし。
※雲形本狂言・飛越新発意(室町末‐近世初)「いや、何かと申す内に飛越(トビコエ)へ参りました。誠に川へ来ました」
[2] 狂言。各流。男が、お供の新発意(しんぼち)が小さな溝をとべないでぬれねずみになったのを見て笑うと、怒った新発意は男がすもうで負けた時のことを持ち出して笑い争いになる。和泉流の古名、及び「狂言記」で「飛越新発意」。「天正狂言本」では「せいとう」。

とび‐こ・す【飛越】

〘自サ五(四)〙
① とんでその上を越す。
※古文真宝桂林抄(1485頃)坤「つちくれを飛こすよりやすきぞ」
※俳諧・其袋(1690)秋「夕霞日々に重なる鞠の音〈露沾〉 白き胡蝶の垣を飛越す〈沾荷〉」
順序をとばして上に進む。仲間を抜いて先に進む。
文明開化(1873‐74)〈加藤祐一〉初「天地の論はちと飛越(トビコ)し過て居る故」

とび‐こ・える【飛越】

〘自ア下一(ヤ下一)〙 とびこ・ゆ 〘自ヤ下二〙
① とんで上を越える。とびこす。
万葉(8C後)一五・三六八七「あしひきの山等妣古由留(トビコユル)雁がねは都に行かば妹に逢ひて来ね」
② 順序をとばして上に進む。
※徳山道助の帰郷(1967)〈柏原兵三〉一「高等科の時は一年から三年に飛び越えてしまった程よくできた」

とび‐こし【飛越】

〘名〙
① とびこすこと。〔五国対照兵語字書(1881)〕
※雑俳・ぎんかなめ(1729)「つれなさや此とびこしも天の川

ひ‐えつ ‥ヱツ【飛越】

〘名〙
① 物の上を飛んで越すこと。飛び越えること。
性霊集‐三(835頃)勅賜屏風書了即献表「一悚一懼、心魂飛越」
陸上競技馬術または競馬で、障害をとびこえること。ハードリング

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デジタル大辞泉 「飛越」の意味・読み・例文・類語

ひ‐えつ〔‐ヱツ〕【飛越】

[名](スル)とびこえること。特に、馬術で障害物をとびこえること。

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デジタル大辞泉プラス 「飛越」の解説

飛越

英国の作家ディック・フランシスのミステリー(1966)。原題《Flying Finish》。競馬界を舞台にしたシリーズの第5作。

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