改訂新版 世界大百科事典 「飯南」の意味・わかりやすい解説
飯南[町] (いいなん)
島根県中部,飯石(いいし)郡の町。2005年1月赤来(あかぎ)町と頓原(とんばら)町が合体して成立した。人口5534(2010)。
赤来
飯南町南部の旧町。飯石郡所属。人口3442(2000)。神戸(かんど)川の最上流域にあり,中国山地を境に広島県に接する。出雲,石見,備後の3国にまたがり,古くから交通の要衝として栄え,たたら製鉄が行われていた。国道54号線が南北に走り,県境の赤名トンネルの開通により広島市への時間が短縮された。平地の少ない高冷地帯のため肉用牛の飼育が盛ん。シイタケやワサビの栽培が行われ,高冷地農業の研究開発を行う県農業試験場赤名分場(現,中山間地域研究センター)がある。ほかに嘉暦年間(1326-29)に赤穴荘地頭紀季実が寄進した3体の神像(いずれも重要文化財)を有する赤穴八幡宮,発電用の来島ダム,赤名湿地性植物群落,ボタン園などがある。
執筆者:清水 康厚
頓原
飯南町北部の旧町。飯石郡所属。人口3099(2000)。神戸川の中流域を占め,南東は広島県,北西は大田市に接する。大万木(おおよろぎ)山,琴引山,三瓶(さんべ)山など中国山地の山々に囲まれた高原地帯にあり肉牛や乳牛の飼育,林業,高冷地野菜などの栽培が盛んで,ヤマメの養殖も行われる。豪雪地帯で交通の難所であったが,国道54号線の開通や晴雲トンネルの完成によって観光客が訪れるようになり,県民の森,青少年旅行村が設けられた。重要民俗資料に指定された奥飯石地方の民具を展示する町立雪具民俗資料館(現,飯南町民俗資料館)がある。
執筆者:清水 康厚
飯南(三重) (いいなん)
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報