香春(町)(読み)かわら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「香春(町)」の意味・わかりやすい解説

香春(町)
かわら

福岡県北東部、田川郡にある町。1898年(明治31)町制施行。1956年(昭和31)勾金(まがりかね)、採銅所(さいどうしょ)の2村と合併。東部は飯岳(いいだけ)山(573メートル)、西部は牛斬(うしきり)山(580メートル)などの山地で、中央部は金辺(きべ)川沿いに沖積低地が開け、JR日田彦山(ひたひこさん)線、平成筑豊鉄道が通じ、国道201号と322号が交差する。古くから宿駅市場町として栄え、江戸時代には小倉藩の番所が置かれ、幕末小倉城が落ちてからは藩庁もこの地に移された。明治以降も郡政の中心として栄えたが、その後衰退、1935年(昭和10)浅野セメント(1947年、日本セメントに社名変更。現、太平洋セメント)香春工場(2004年、解散)が建設されて活気を取り戻し、工業町として発展した。金辺川西岸の「炭坑節」で名高いカルスト地形の香春岳(511メートル)は、セメントの原料である石灰岩採掘により山容を大きく変化させているが、筑豊(ちくほう)県立自然公園の一部としてハイキングコースが開かれ、行楽客も多い。面積44.50平方キロメートル、人口1万0191(2020)。

[石黒正紀]

『有吉捷路著『香春町郷土誌』(1956・香春町)』『『香春町誌』(1966・香春町)』『『香春町史』全2巻(2001・香春町)』


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