日本大百科全書(ニッポニカ) 「駅馬車(映画)」の意味・わかりやすい解説
駅馬車(映画)
えきばしゃ
Stagecoach
アメリカ映画。1939年作品。日本公開は翌40年(昭和15)。アーネスト・ヘイコックスの短編小説をダドリー・ニコルズが脚色、ジョン・フォード監督の代表作とされる。1885年、アリゾナ州トントからニュー・メキシコ州ローズバーグまで、9人の乗客を乗せた駅馬車が、インディアンの襲撃におびえながら2日がかりで走る。夫のもとへ急ぐ若い妊婦、酔いどれ医師、インチキ賭博師(とばくし)、町を追われた酒場女、復讐(ふくしゅう)の一念に燃える脱獄囚などがさまざまな人間ドラマを織り成すうちに、インディアンの襲撃を受ける第一のクライマックスと、続いて御尋ね者が仇(あだ)を討つ第二のクライマックスが展開される。主演のジョン・ウェインはこの一作でスターとなり、医師を演じたトマス・ミッチェルがアカデミー助演男優賞を受けた。人物群像の巧みな描き分け、ダイナミックな活劇場面がみごとで、西部劇の代表的傑作である。
[品田雄吉]
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