駆上・駈上(読み)かけあがり

精選版 日本国語大辞典 「駆上・駈上」の意味・読み・例文・類語

かけ‐あがり【駆上・駈上】

〘名〙
① 馬を走らせて上がること。また、その場所。
太平記(14C後)三一「左兵衛督只一騎、馬のかけあがりに罄(ヒカ)へて、敵三騎切りて落し」
引手茶屋船宿などを通さないで、直接登楼すること。また、その遊客。
滑稽本浮世床(1813‐23)二「お茶屋は三年ふさがり、此方に向ひて一句も出ずといふ暦だから、無拠(よんどころなく)駈上(カケアガ)りとしてしらねへ内へ揚りやした」
芸人楽屋入りをして、そのまま休まないで高座へ出ること。また、出演間近に楽屋に入ること。
④ 釣りで、川底斜面をいう。
風俗画報‐二四三号(1902)動植門「流し釣は澪(みよ)の縁(へり)『かけあがり』と唱へて深き処と浅き処との中間に舟を流しながら釣るなり」

かけ‐あ・ぐ【駆上・駈上】

〘他ガ下二〙 馬を走らせて高い所へのぼらせる。
※太平記(14C後)一九「足のたたぬ所をば馬の頭をたたき上げて泳がせ、真一文字に流れをきって、向の岸へ懸あげたり」
日葡辞書(1603‐04)「Caqeague, uru, eta(カケアグル)。例、ウマヲ caqe(カケ) aguru(アグル)〈訳〉馬たちを高い場所にかけのぼらせる」

かけ‐あが・る【駆上・駈上】

〘自ラ五(四)〙
① 馬を走らせて上がる。
※太平記(14C後)二八「疋馬に流れをせき上げて、向ひの岸へぞ懸襄(アガッ)たる」
② 急いで走って上がる。
仮名草子浮世物語(1665頃)一「揚屋中二階にかけあがり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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